2001 Fiscal Year Annual Research Report
中空糸膜を用いた超高感度水中ラドン検出器開発と地震前兆現象の研究
Project/Area Number |
13640274
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田阪 茂樹 岐阜大学, 教育学部, 教授 (60155059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 正也 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (80281046)
佐々木 嘉三 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40021307)
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Keywords | ラドン / 地震 / 地震予知 / 活断層 / 湯量 / 湯温 / 潮汐現象 / ラドン検出器 |
Research Abstract |
平成12年度は、主として超高感度水中ラドン検出器の開発と設置を行った。現在4ケ所の観測点のデータは、ラドン観測通信ネットワークで岐阜大学に送られて来て、解析されている。 (1)岐阜県「割石温泉」、「神岡鉱山」、「川上村」、福井県「平成の湯」の4ケ所の観測点に超高感度水中ラドン検出器を設置した。 (2)超高感度水中ラドン検出器の捕集容器は70リットルと大きくして、PINフォトダイオードに印加する静電捕集電圧を-1500Vと高くした。また、地下水に溶存しているラドンガスの脱気を大幅に改善するために、液相・気相接触面積を大幅に広げることが必要である。そのために、水中ラドンガス脱気用のステンレス製の部品を開発した。 (3)今まで使用していた水上設置型の水中ラドン検出器は、その校正係数は約300(RaC'/h)/(Bq/l)であった。「割石温泉」の観測結果では、1時間のRaC'のカウント数は約15万個となった。液体シンチレーション法で測定した平均ラドン濃度は2.5Bq/lであり、新型超高感度水中ラドン検出器の校正係数は約60000(RaC'/h)/(Bq/l)となる。水中ラドン検出器の感度を従来型に比較して、約200倍に上げることに成功した。 (4)特に、岐阜県「神岡鉱山」カムランド実験の第4段進入路横の坑道の奥500mの地下水湧水地点には、全部で6本のボーリング孔がある。その内「T12」ボーリング孔は、北20号断層を貫通しており、毎時約1トンの湧水が噴出している。この湧水中のラドン濃度を測定している。観測結果を見ると、鉱山内では気温変化等の安定した測定環境が得られており、10分間で約55,000個のRaC'のカウント数を得ることができており、統計的精度を1%にする研究目的が達成できた。 (5)観測結果から明らかになった観測上の研究課題として、「割石温泉」、「川上村」、「平成の湯」では観測小屋内の気温変化が20度以上あり、この影響で地下水に溶存しているラドンガスの脱気効率が変化して、見かけ上のカウント数の大きな変動が見られた。現在、過熱ヒターまたはエアコン等の設置で安定化を計画している。 本年度は、岐阜県及びその周辺地域ではマグニチュード5.5以上の大きな地震は発生していない。平成14年度は、4ケ所の観測点でのラドン濃度観測を主体に研究を行う計画である。
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Research Products
(1 results)