2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640278
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 恭久 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (80000868)
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Keywords | 超重元素合成 / 散逸・揺動動力学 / ランジュバン方程式 / 重イオン核融合 / 複合核反応 / 国際研究交流(フランス、中国) / 国際情報交換(ドイツ、ロシア) |
Research Abstract |
超重元素合成のための重イオン核融合反応機構を散逸動力学の立場から解明する研究を行っている。 入射核と標的核が一つの複合核を形成するまでの過程を二つの段階に分けて記述する模型を提唱した。第一段階はクーロン障壁を越えて接触するまでであり、Surface friction model、Proximity friction model等を仮定して、入射チャンネルのイオン間の相対運動をLangevin方程式を解いて求めた。結果は、第二段階、即ち、入射イオンの接着により形成された洋なし型の複合系から出発して丸い複合核を形成する過程に対する初期値を与える。この初期値を用いて複合核形成確率を、励起核の集団運動をLangevin方程式を用いて解くことにより求めた。これらを組み合せて、核融合確率を計算し、^<48>Caビーム及びアクチニド標的核を用いた実験で測定された融合断面積の励起関数をよく再現した。 さらに、この計算された核融合確率を用い、統計崩壊理論による生き残り確率と組み合せて、超重元素核Z=114、116、118の生成断面積を計算した。Z=114、116についてはDubnaの実験データとの良い一致をみた。Z=118については、理論的予言を与えた。 一方、この描像にもとづき、障壁を放物線近似した簡単なモデルを用いて複合核形成確率に対する解析的解を求め、定性的理解を進めると共に、現実的数値解の特徴を理解する助けとした。実験的に知られていた、核融合の異常禁止について理論的説明を与えると共にいわゆるextra-pushエネルギーについての簡単な表式を導出した。
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[Publications] Y.Abe, C.Shen, G.Kosenko: "Two-step model of fusion for the synthesis of superheavy elements"Phys. Rev.. C66. 061602(R) (2002)
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[Publications] Y.Abe, D.Boilley, G.Kosenko, J.D.Bao, C.W.Shen, B.Giraud, T.Wada: "Fusion Dynamics of Massive Heavy-Ion Systems (invited talk)"Prog. Theor. Phys. Suppl.. No.146. 104-109 (2002)