2002 Fiscal Year Annual Research Report
中性子星物質におけるK中間子のダイナミックスとハイペロン自由度
Project/Area Number |
13640282
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
巽 敏隆 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40155099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 智幸 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (50318391)
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Keywords | 中性子星冷却 / K中間子凝縮 / 一次相転移での混合相 / ニュートリノ / クォーク物質 / π中間子凝縮 / 高密度核物質 / クォーク星 |
Research Abstract |
本年度はK中間子凝縮相およびハイペロン物質中でのニュートリノ相互作用、多成分系の一次相転移と混合相の問題を研究するとともに、クォーク星候補天体、超新星残骸3C58の発見に触発されて、微視的視点からクォーク星の性質および中性子星冷却の問題と"物質の新しい形態"について研究した。また、この問題は実験室で観測される重イオン衝突やGamow-Teller共鳴の問題とも密接に関係していることを強調した。 K中間子凝縮相およびハイペロンまで含めたバリオン物質でのニュートリノ相互作用に関しては、まずニュートリノの平均自由行程または不透明度に関する研究をまとめ論文として発表した。ついで中性流が関与するニュートリノ過程でのバリオン行列要素を考察し、これまでの論文の誤りを正すとともにフレーバー-重項カレントにたいしては陽子スピン問題との関連を指摘して最近の実験、格子QCD計算を考慮して正しい行列要素をあたえた。 K中間子凝縮やハドロンークォーク相転移などの多成分系の一次相転移での混合相の問題を前年に引き続いて研究し、大部の論文にまとめ発表した。電磁相互作用を自己無撞着に扱って電荷、密度非一様な構造をもつ混合相を研究することにより、ハドロンークォーク相転移に関する従来の多くの結果が成立しない反例を示した。 中性子星冷却に関して、最近の観測データといろいろ提案されている理論を批判的に検討し、π中間子凝縮が一番可能性のあることを結論し論文を発表した。その直後発見された3C58は我々の予測と一致している。 核物質におけるK中間子やπ中間子のような擬スカラー粒子の役割は、クォーク物質においては平均場のパリティの破れと深く関係している。一方このような状態は強磁性的な性質を示す。このような観点からクォーク物質における磁性と超伝導との関係を議論し、両者が共存できることを示した。
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[Publications] D.N.Voskresensky: "Charge screening at first order phase transitions"Phys. Lett.. B541. 93-100 (2002)
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[Publications] S.Tsuruta: "Confronting neutron star cooling theories with new observations"ApJ.. 571. L143-L146 (2002)
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[Publications] D.N.Voskresensky: "Charge Screening at First Order Phase Transitions and Hadron-Quark Mixed Phase"Nucl. Phys. A. (In press). (2003)
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[Publications] T.Muto: "Neutrino opacities in neutron stars with kaon condensates"Phys. Rev. D. (In press). (2003)
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[Publications] 巽 敏隆: "クォーク星のきらめき"数理科学5月号. (In press). (2003)
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[Publications] T.Tatsumi: "Delayed collapse of protoneutron stars by kaon condensate"Proc. of Int. Nuclear Physics Conf.(INPC2001), American Inst. of Physics. 475-479 (2002)
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[Publications] T.Tatsumi: "Physics of High-Density Nuclear Matter at JHF"KEK Proceedings. 13. 66-72 (2002)
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[Publications] T.Maruyama: "Ferromagnetism of Nuclear Matter in the Relativistic Approach"Proc. of Int. Conf. of PANICO2, Nucl. Phys. A. (In press). (2003)
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[Publications] T.Tatsumi: "Hadron-quark mixed phase in neutron stars"Proc. of 7th Int. Sympo. of "Nuclei in the Cosmos"(NIC7) Nucl.Phys.A. (In press). (2003)
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[Publications] T.Tatsumi: "Pseudoscalar Mesons in Nuclear Medium"Proc. of "MEDIUM02". (In press). (2003)
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[Publications] T.Maruyama: "Eta Photoproduction in the Relativistic Approach"Proc. of Int. Conf. of PANICO2, Nucl.Phys.A. (In press). (2003)
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[Publications] T.Maruyama: "Time-dependent Dynamics of the Bose-Fermi Mixed Condensed System"Proc. of Int. Conf. CM2002, WS. (In press). (2003)