2001 Fiscal Year Annual Research Report
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13640285
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横山 順一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50212303)
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Keywords | 宇宙項 / 真空のエネルギー / インスタントン / 宇宙背景輻射 / 密度揺らぎ / インフレーション / ブレインワールド / 超重力理論 |
Research Abstract |
現代宇宙論の抱える最も大きな問題は、最近のIa型超新星のナンバーカウント観測によってその存在が示唆されている、真空のエネルギーすなわち正の宇宙項の起源を説明することである。これまで所謂クイントエッセンスのように小さなポテンシァルエネルギーを持ったスカラー場によってこれを説明する試みが闊歩してきたが、本年私は宇宙の量子状態に関する考察により、このような微小な量を勝手に導入することなく観測値を自然に説明する理論の構築に成功した。一般に縮退した摂動的真空を持つ理論では、真の真空は摂動的真空の重ね合わせで表される。然るにもしわれわれの宇宙が摂動的真空のある状態にあるとすると、これは真の真空よりも極僅かだが大きなエネルギー密度を持つことになる。その値は摂動的真空間を結ぶインスタントンの作用の-1倍をべき指数に持つ指数関数に比例する。したがって作用が十分大きければ観測されている小さな宇宙項の値を説明できるのである。実際、ゲージ理論の真空構造を利用することにより、現在の観測値を無理なく説明できることを明らかにした。 また、宇宙背景輻射の非等方性の角度相関から初期曲率揺らぎのスペクトルを再現する手法を提唱し、いくつかの理想化された場合について、極めて精度良く再現可能であることを示した。 このほか、一般化された重力理論においてインフレーション中に生成する密度揺らぎのスペクトルを求める手法を確立し、いくつかの具体例についてこれを実行した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Jun'ichi Yokoyama: "Cosmological constant from degenerate vacua"Physical Review Letters. (印刷中). (2002)
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[Publications] Makoto Matsumiya, Misao Sasaki, Jun'ichi Yokoyama: "Cosmic inversion : Reconstructing primordial spectrum from CMB anisotropy"Physical Review D. (印刷中). (2002)
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[Publications] Jun'ichi Yokoyama, Shogo Inoue: "Curvature perturbation at the local maximum of the inflaton's potential"Physics Letters B. 524. 15-20 (2002)
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[Publications] Jun'ichi Yokoyama, Yoshiaki Himemoto: "After bulky brane inflation"Physical Review D. 64. 083511-1-083511-5 (2001)
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[Publications] Masahide Yamaguchi, Jun'ichi Yokoyama: "New inflation in supergravity with a chaotic initial condition"Physical Review D. 63. 043506-1-043506-5 (2001)
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[Publications] A.A.Starobinsky, S.Tsujikawa, Jun'ichi Yokoyama: "Cosmological perturbations from multi-field inflation in generalized Einstein theories"Nuclear Physics B. 610. 383-410 (2001)
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[Publications] 横山順一他: "大学院宇宙物理"講談社サイエンティフィック(印刷準備中). (2002)