2001 Fiscal Year Annual Research Report
少数核子系の厳密計算に基づく核子間相互作用の理論的研究
Project/Area Number |
13640300
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
石川 壮一 法政大学, 第一教養部, 助教授 (50184479)
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Keywords | 少数核子系 / 3体力 / クーロン力 / 核子-重陽子散乱 / 核子間相互作用 |
Research Abstract |
1.3体分裂コードの開発:3体分裂を含む3体計算コードの開発はほぼ完了し、精度の確認、及び3体分裂観測量の計算コードの作成を今後行う。 2.核子-重陽子散乱偏極量の研究:一般に、偏極観測量の表式は非常に複雑になるが、核子-重陽子散乱振幅のスピン空間での構造を調べた上で、主要項による近似を用いて、見通しの良い偏極観測量の表式を求めた。その結果、偏極観測量の適当な組み合わせにより、散乱振幅のスピン成分の情報がより直接的に得られることがわかった。この結果、結合エネルギーや微分断面積の計算値と実験データとの間の系統的な不一致を解消するために導入された3体力が、正しいスピン依存性を持っているかどうかを検証することができるようになる。 3.陽子-ヘリウム3後方弾性散乱の研究:陽子とヘリウム3原子核の後方弾性散乱は、ヘリウム3原子核の構造を通して核力の様相を調べることができる手段として期待されている。ただし、そのためには、反応過程についての不定性が取り除かれていなければならない。現実的核力モデルから計算したヘリウム3の波動関数をもとに、この反応の反応機構を調べ、これまでに得られている微分断面積の実験データを再現する上で中間子交換過程が重要な寄与を果たすことがわかった。この成果をもとに、偏極量の測定が大阪大学で予定されている。 4.4体クーロン問題の定式化:4体問題を記述する方程式であるYakubovsky方程式は、本来核力のような短距離力に対して定式化された式であり、クーロン力のような長距離力に対しては、数学的な困難を伴う。3体系でクーロン力を取り込むことに成功した方法を、4体問題に拡張するための定式化を行い、クーロン力を取り込んだ変形Yakubovsky方程式を導出した。
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