2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640308
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石橋 延幸 筑波大学, 物理学系, 教授 (70211729)
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Keywords | 超弦理論 / M理論 / ブレーン / 膜 |
Research Abstract |
近年の研究によって,超弦理論の非摂動効果においてブレーンと呼ばれる広がった対象が重要な役割を果たしていることがわかってきた。特にM理論と呼ばれる理論の背後にあると考えられている理論の定式化においては2次元に広がった対象であるいわゆる膜の理論が基本的であると予想されている。ところが,弦の理論に比べて膜の理論はよくわかっているとは言えない。膜が時空の中を走ると世界体積と呼ばれる3次元の軌跡を作る。膜の第一量子化はこの3次元の軌跡上の場の理論を考えることに対応する。膜の理論が弦の理論に比べて難しいのは膜が広がっている配位からの展開として理論を定義しないと、この場の理論の運動項がうまい形にならない点にある。弦の理論では、弦が全く広がっていない配位の周りの展開として理論が定義できる。このため臨界次元の存在等の著しい性質が出てくる。我々は弦理論に出てくる膜の理論を考えているので、この理論には弦と共通の臨界次元が存在してほしいわけである。そのためには、膜が縮退しているような配位の周りで理論を展開する技術が必要になる。最近、関野と米谷はコンパクト化された時空に巻きついた膜と行列弦模型との対応を指摘した。われわれは、彼らの対応を弦理論の立場から正当化した。また、この対応を使うと膜の理論を縮退しているような配位の周りで考えることが出来る。われわれは、この対応を使って、光円錐ゲージにおけるローレンツ代数が閉じるという条件から予想される臨界次元11を導き出せることを示した。
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