2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640308
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石橋 延幸 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (70211729)
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Keywords | 弦理論 / 行列模型 / 非臨界弦 / D-brane / 非摂動効果 / D-instanton / 弦の場の理論 / 2次元重力 |
Research Abstract |
弦の理論は点粒子の理論の拡張であるが、その非摂動効果の性質が点粒子の場合と非常に異なっている。例えばゲージ理論においては、結合定数をgとすると非摂動効果はexp(-C/g^2)の形をしていることが知られている。ところが弦理論においては、結合定数をg_sとすると非摂動効果はexp(-C/g_s)の形になる。g及びg_sはそれぞれg^2【planck's constant】、g_s^2【planck's constant】が摂動展開の展開パラメタになるように選んであるので、上記の非摂動効果の形は質的にかなり違ったものになっている。この非摂動効果の違いは、点粒子のファインマングラフの数と、弦理論におけるそれにあたるものが、ループの数が増えていくにつれてどのように振舞うかという性質の違いから来ており、弦と粒子の端的な違いを表す性質となっている。 この非摂動効果の違いを研究する方法のひとつとして非臨界弦の理論の研究がある。非臨界弦とは次元の低い時空において定義された通常の弦理論のおもちゃの模型であり、行列模型の手法を使うことで厳密に解くことが出来る。我々はこの非臨界弦における非摂動効果を研究した。非摂動効果はD-instantonと呼ばれるインスタントンがもたらす効果であることを議論し、このインスタントンが弦の場の理論におけるインスタントン解と考えることが可能であることを示した。また、このインスタントンの化学ポテンシャルを行列模型から求めることが出来ることを示した。この化学ポテンシャルの値は正則化の方法によらないユニヴァーサルな量であり、これまで、行列模型から求めることは不可能であると考えられていた。
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Research Products
(1 results)