2003 Fiscal Year Annual Research Report
ステップにおける原子配列ダイナミックスの理論的研究
Project/Area Number |
13640326
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川村 隆明 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (20111776)
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Keywords | ステップ / ダイナミックス / 表面原子拡散 / 表面原子配列 / シミュレーション / ナノ構造形成 |
Research Abstract |
ステップのダイナミックスを解析するため動的モンテカルロシミュレーションによる研究を行った。対象はsi(100) -2×1微斜面である。この面では性質の異なる2つの1原子層差のステップが存在する。一つはSaステップで直線的で安定なステップ,もう一つはSbステップで,ステップに沿って凹凸が生じ原子の出入りが多い。Saを上側に,Sbを下側にもつテラス上で原子の流れを調べ,上側Saから下側Sbの方向へ生じていることを明らかにした。この流れはSaには原子が付きにくく,Sa付近の吸着原子の密度がSb付近に比べ高くなっていることに起因する。またこの原子の流れによって上側Saは後退し下側Sbは前進し,Sa上側のテラスは狭くなる。いわゆるステップのバンチング現象が起こる。この変化によって全系のステップ長は短くなり,全系のエネルギーも下がり,安定化することが示された。 微斜面上に上側にSa,下側にSbをもつ広いテラスを設定し、この上の一部の温度を下げ,低温領域にナノ構造島ができることを示した。いくつかの温度と広さの低温領域を設定し島形成の条件を明らかにした。島が形成され始めるとテラス上の原子の流れは上側Sa,下側Sbステップから島の領域に向きが変化することも分かった。このことを利用すると,外からの原子供給なしにナノ構造を作製し,また崩壊し始めたナノ構造を修復することが可能である。 上のことはテラス下側のSbステップの役割の変化を示している。すなわち,島が形成され始めるまでSbは原子の吸い込み口になっているが,島が形成され始めると原子の沸き出し口になる。Sbステップにおける原子のダイナミックスが変化したことが分かる。 このようにステップの原子はそのダイナミックスの中で全体の系における役割を変え,その役割の変更が原子のダイナミックスに影響を与えるという新たなダイナミックスが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Toyoshima et al.: "Surface Diffusion during Decay of 2-Dimensional Island on Si(100)"Japanese Journal of Applied Physics. 42・9. L1087-L1089 (2003)
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[Publications] S.Toyoshima, T.Kawamura: "Effect of Temperature Difference on Adatom Diffusion and Growth of Nano-island on Si(100) Surface"Japanese Journal of Applied Physics. 43(in press). (2004)