2002 Fiscal Year Annual Research Report
放射光励起光電子分光による1次元性新物質の電子状態の研究
Project/Area Number |
13640338
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
難波 秀利 立命館大学, 理工学部, 教授 (40118766)
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Keywords | 1次元表面新物質 / 1次元電子状態 / ステップ表面 / 光電子分光 / 表面磁性 / 放射光 / Co / Cu |
Research Abstract |
本年度の成果 1)高ミラー指数で表される単結晶ステップ表面上の1次元ステップ列に特有な1次元電子状態の発現機構を解明するためにCu(755)表面の電子状態を放射光励起角度分解光電子分光により精密に測定した。Cu(755)表面では、ステップに起因する新しい電子状態は検出されず、テラスの電子状態のみが検出された。テラスの電子状態は、平坦な(111)表面電子状態と類似しているが、対応する光電子ピークの幅が約3倍に増加している。これは、光電子の寿命がステップ表面では短くなっていることを示している。一方、これまでのNi(755)表面ではステップに固有な電子状態が明確に検出されており、両者の差は、CuとNiの電子構造の差によるものと解釈される。すなわち、フェルミ準位直下にd-電子が分布するNiで新しい電子状態が出現していることから、局在性の高いd-電子の軌道混成がステップでのs、p-性の価電子の局在性を高めていることが明らかになった。 2)非磁性金属のCu(755)上にCo原子を極微量吸着させて1次元のCo原子鎖を作ることを試みた。Coの吸着により清浄表面での表面準位が減少するに連れて、フェルミ準位直下に新しい電子状態が現れてくることを検出できた。これは吸着したCoのd-電子によるものと思われる。新しい電子準位の1次元性の判定はまだ十分な精度では行われていない。今後、吸着条件を変えた測定などが必要である。Coの吸着量が極微量であるなどの実験的な困難さはあるが、今後注意深い測定を行うことにより1次元Co原子鎖の電子状態を解析できるものと思われる。
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[Publications] K.Ogawa: "Electronic states localized at surface defect on Cu(755) studied by angle-resolved ultraviolet photoelectron spectroscopy using synchrotron radiation"Jpn.J.Appl.Phys.. (印刷中).
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[Publications] K.Ogawa: "Surface electronic state on stepped Cu(755) studied by angle-resolved ultraviolet photoelectron spectroscopy using synchrotron radiation"Solid State Commun.. 125. 517-521 (2003)
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[Publications] F.Matsui: "Three-dimensional band mapping of graphite"Appl.Phys.Lett.. 81. 2556-2558 (2002)
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[Publications] Y.Hoshino: "Initial oxidation of 6H-SiC(0001)-root3xroot3 surface studied by ion scattering combined with photoemission induced by synchrotron-radiation-light"Surf.Sci.. 505. 234-242 (2002)