2003 Fiscal Year Annual Research Report
f電子系金属間化合物におけるNMADスピングラス現象の研究
Project/Area Number |
13640348
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 徳新 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40281985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 佳哉 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00260448)
塩川 佳伸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50111307)
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Keywords | NMADスピングラス / f-d(f-p)混成 / 競争するRKKY相互作用 / 長周期磁気秩序 / リエントラントスピングラス / 磁気緩和 / 磁化率 / 比熱 |
Research Abstract |
我々は短距離型f-d(f-p)混成及びランダム分布するRKKY型磁気相互作用をそれぞれウラン及び稀土類金属間化合物におけるNMADスピングラス挙動に重要な寄与をすることを認識し今年度の研究を行った結果、意味深い実験現象を得られた。(1)元素置換:Ce_2TSi_3、U_2TGa_3、R_2PdSi_3及びR_5T_2Si_8中の稀土類元素R及び遷移金属Tを取り替え、f-d(f-p)混成及びRKKY相互作用を制御する研究を行った。遷移金属のd電子性質及びd電子数の変化により、Ce_2TSi_3の磁性は単純なスピングラス(Ce_2CuSi_3)から強磁性短距離磁気秩序を伴ったスピングラス(Ce_2PtSi_3,Ce_2AuSi_3)まで変化し、U_2TGa_3は強磁性体(U_2RuGa_3,U_2RhGa_3,U_2IrGa_3)からスピングラス(U_2AuGa_3,U_2CuGa_3)、更に反強磁性体(U_2PdGa_3,U_2PtGa_3)まで変化することがわかった。尚、稀土類化合物Pr_5T_2Si_8、Nd_5T_2Si_8においても単純なスピングラス振る舞いが観測された。幾つかのR_2PdSi_3試料に対しては、低温でスピングラス状態と長距離強磁性相或いは長距離反強磁性相と共存し、いわゆる「リエントラント」現象が観測された。(2)組成変化:Pr(Co_xRu_<1-x>)_2Si_2を典型的な試料として、CoとRu原子の組成比を変化させ、競争するRKKY相互作用を制御する実験を行った。その結果、Coの添加により競争するRKKY相互作用を誘発し、PrCoRuSi_2において明らかなスピングラス効果が長周期磁気秩序と同時に現れた。(3)外部圧力:ウラン化合物U_2AuGa_3とU_2PdSi_3に外部圧力をかけて、f-d(f-p)混成を制御する実験を行った。これら物質のスピングラス転移温度は外部圧力の増加と共に高温側に移動することが判明した。その他、UFe_4Al_8の準安定磁気状態、UAuAlとUCuSiのスピングラス機構などを詳しく調べた。これらの研究により、スピンの凍結温度など磁気的性質は遷移金属原子の濃度及びd電子の性質に強く依存し、f-d混成と競争するRKKY相互作用はそれぞれがU化合物及び稀土類化合物のNMADスピングラス現象に重要な役割を果たすことを実験的に明らかにした。関連する数篇の研究論文も国際雑誌で公表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] D.X.Li, S.Nimori, Y.Shiokawa, Y.Haga, E.Yamamoto, Y.Onuki: "AC Susceptibility and Magnetic Relaxation of R_2PdSi_3(R=Nd, Tb and Dy)"Phys.Rev.B. 68. 012413 1-012413 4 (2003)
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[Publications] D.X.Li, S.Nimori, Y.Shiokawa, Y.Haga, E.Yamamoto, Y.Onuki: "Ferromagnetic Cluster Glass Behavior in U_2IrSi_3"Phys.Rev.B. 68. 172405 1-172405 4 (2003)
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[Publications] D.X.Li, Y.Shiokawa: "Metastable Magnetic Behavior in UFe_4Al_8"J.Phys.:Condensed Matter. 15. S2029-S2033 (2003)
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[Publications] D.X.Li, Y.Shiokawa ed al.: "Magnetic Behavior in Nonmagnetic Atom Disorder System Ce_2Cu_s"Physcia B. 329-333. 506-507 (2003)
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[Publications] T.Tomimatsu, K.Koyama, M.Yoshida, D.X.Li, M.Motokawa: "Observation of Antiferromagnetic Resonance Affected by Hyperfine Interaction in GdBi"Phys.Rev.B. 67. 014405 1-014405 4 (2003)
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[Publications] T.Yamamura, D.X.Li, Y.Shiokawa: "Spin-glass Behavior in Ternary Uranium Compound U_2AuGa_3"Physcia B. 329-333. 559-560 (2003)