2001 Fiscal Year Annual Research Report
形状記憶性を持つバルク及びナノ構造体の電子構造と新機能創製
Project/Area Number |
13640368
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石田 尚治 鹿児島大学, 理学部, 教授 (10041237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 教男 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (20322323)
小原 幸三 鹿児島大学, 工学部, 教授 (10094129)
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Keywords | 形状記憶合金 / 電子構造 / マルテンサイト相 / スピン偏極 / 角度分解光電子分光装置 / 高精度組成制御 / 超高回転 |
Research Abstract |
理論的研究 形状記憶合金Ni_<2・17>Mn_<0・83>Gaは温度や応力以外に磁場でも形状を制御できるので、多機能性があり応用面でも注目されている。バルク状態でのマルテンサイト相は単斜晶と斜方晶の共存状態であることが観測されており、理論的にも最安定相は単斜晶であり、斜方晶は準安定相であること予測してきた。更に、膜にしても形状記憶性は保たれるかということは応用面からも興味ある問題である。バルク状態の立方晶、正方晶、斜方晶、単斜晶を基に5,7,9,11層の膜を想定し、電子構造を計算し膜の性質を調べ次のような結論を得た。4種の結晶構造に対する全エネルギーの順序はバルクと同じであることより、膜でも形状記憶性は保たれると推論できる。表面にMn, Ga原子が位置すると、Mnはプラスに、Gaはマイナスに荷電し、その影響は膜の中心層までおよぶこと、また、Mnサイトと表面のNi原子は単斜晶安定化への寄与が大きいこと等が分かった。 形状記憶合金TiNiおよびTiNiに少量のNiをFeで置き換えたTiNi_<8/9>Fe_<1/9>のR-haseの安定性を、4個の結晶構造を仮定して電子構造を基に調べ、P3構造が最も安定であることを理論的に予測した。同時に、バンドエネルギーから、P3構造でTi(1c)とNi(1c)(あるいはFc(1c))原子の接近がP3構造の安定化に大きく寄与していることを示した。 実験的研究 形状記憶合金に関するバンド計算による先験的結果と作成される試料のスピン・電子構造と直接比較するための手法の開発を目的として、固体内電子のスピン、運動量、エネルギーを分解可能なスピン偏極角度分解光電子分光装置を試作した。また、この装置において、キュリー温度等を同時に評価するための低温(>20K)ステージの設計を行った。 形状記憶合金の高精度組成制御に関する実験と解析を行った。形状記憶合金の転移温度の組成依存性は、NiTiでは極めて強く0.01at%Ni/Kの変化率のため、相転移の現象解明の必要条件として超高精度組成制御は必須である。組成分布変化とプラズマの影響のもっとも少ない対向ターゲット型マグネトロンスパッタ装置でNiTi薄膜を作成し、組成分布を調べた。組成分布は0.16at%Ni/cmであった。シミュレーション手法で改善の手法を検討したが、原理的に0.1at%Ni/cmを10cmの範囲で実現することは不可能だった。この点に本質的改善を加えるために、基板を超高速で回転させ、粒子と基板の衝突を制御する手法を導入した。その結果、付着確率が基板近傍の粒子衝突によるエネルギー散逸量に依存する明確な結果を得た。これは、従来の常識を超えて、超高精度組成制御の可能性を示す結果である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shoji Ishida, Yoshinori Tanaka, Setsuro Asano: "Shape Memory Property and Electronic Structure of Film of Ni_<2・17)Mn_<0・8.3>Ga"Proc.Fourth Pacific Rim Int.Conf.on Advanced Materials and Processing(PRICOM4). Vol.2. 1693-1696 (2001)
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[Publications] Shoji Ishida, Tomohiko Tasaka, Setsuro Asano: "R-Phasc Transformation and Electronic Structures of Shape Memory Alloy TiNi"Proc.Fourth Pacific Rim Int.Conf.on Advanced Materials and Processing(PRICOM4). Vol.2. 1835-1838 (2001)
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[Publications] K.Eguchi, S.Y.Park, N.Terada, K.Obara: "Cooperative phenomena in super-thin oxide layer on metallic electrode"Transactions of Materials Research Society of Japan. Vol.26 No.4. 1295-1298
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[Publications] K.Obara et al.: "Collision Processes between Sputtered Particles on High SpeedRotating Substrate and Atomic Mass Dependence of Sticking Coefficient"J.Crystal Growth. in press.
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[Publications] N.Terada, A.Iyo, Y.Tanaka, K.Obara, H.Ihara: "Photoemission Study of (Cu, T1)-1223 and Tl-1223 with Tc above 130K"IEEE Trans.Appl.Superconductivity. vol.11 No.1. 2707-2710 (2001)
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[Publications] N.Terada, S.Ikegawa, Y.Motoi, K.Obara, H.Ihara: "Phtoemission Study of Chemical Bond Nature of Pb-3212 Epitaxial Films"IEEE Trans.Appl.Superconductivity. vol.11 No.1. 3126-3129 (2001)