2001 Fiscal Year Annual Research Report
共有結合性とイオン性をもつ液体金属の構造の圧力変化
Project/Area Number |
13640372
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻 和彦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10114563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 高典 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (10327687)
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Keywords | 液体金属 / 高圧力 / 放射光 / 構造 |
Research Abstract |
放射光を用いた高圧力下のX線回折実験により、液体金属の構造の圧力変化を22GPaまで調べた。原子間の結合に共有結合性をもつ液体テルルでは、加圧により液体の構造因子S(Q)の第1ピークは高くなり、サブピークの高さは低くなった。これは、液体中の局所構造が異方的に収縮することを表わしている。2体分布関数g(r)のピーク位置から求めた最近接原子間距離は、加圧により6GPaまでは体積収縮にもかかわらずむしろ増加し、6GPa以上では減少した。減少の割合は均一収縮モデルよりも小さかった。これらの結果は、金属結合のみの液体アルカリ金属がほぼ一様収縮することと対照的である。 結合に共有結合性とイオン性をもつ液体GaSbでは、加圧により第1ピークとサブピークの位置はQの大きい側へ移動し、第2ピークと第3ピーク位置はほとんど変化しなかった。第2ピークと第1ピークの位置の比の値は次第に減少し、20GPaでは、ほぼ常圧の液体スズの値に近づいた。g(r)の第1ピーク位置は加圧による体積収縮にもかかわらず、ほぼ一定であり、第2ピーク位置はrの小さい側へ移動した。また、4Å附近のハンプは約11GPaで消失した。また、第1ピークと第2ピークの間の谷は次第に深くなった。液体の局所構造としては、β-スズ型の結晶を歪ませたものと、単純体心正方構造を歪ませたものを混合したものでg(r)を再現でき、加圧により単純体心正方構造的な部分の割合が増大した。これらのことから、液体GaSbの局所構造は、加圧により一様に収縮するのではなくて、より配位数の高い構造へ変化させながら収縮していくことがわかった。
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Research Products
(1 results)