2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640373
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Research Institution | CHUO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石井 靖 中央大学, 理工学部, 教授 (60143541)
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Keywords | 準結晶 / 構造変態 / 近似結晶 / フェイゾン / 弾性論 / 電子構造 / 擬ギャップ |
Research Abstract |
Al-Ni-Co系10方晶準結晶の原子配置を、背景にある準周期的タイリングのタイルの組み換えで表現されるような局所的な構造変化も考慮してモンテカルロ法により理論的に予測するコードを利用して、Al-Ni-Co系でAlと遷移金属の組成、あるいはNiとCoの組成が理想的な値からはずれた時の構造変化を再度検討した。その結果、basic-Nickelと呼ばれる秩序相の出現する組成領域では細い六角形(Hexagon)、ボート形(Boat)、星形(Star)の3種類のタイルで整理できる局所構造(HBSタイル)が得られるのに対して、Coの組成が大きな所ではH, B, Sに加えて10角形のパターン(原子コラム)が現れることを見出した。このような局所構造のバリエーションはAl-Co、Al-Ni間の引力的相互作用の違いで定性的に理解できることがわかった。計算には準周期構造の有理近似である周期的な模型を利用しているが、有理近似の精度を上げて長い周期の模型についても計算を行なって、こうして得られた傾向が必ずしも周期的境界条件による人為的な効果ではないことを確認した。 一方、Cd系準結晶の近似結晶相であるCd6M(M=Yb, Ca, etc)で見出される秩序・無秩序転移についての知見を得るために、第一原理計算により近似結晶構造に存在する正20面体クラスターの芯の構造を調べた。その結果、クラスター芯の正4面体クラスターは縮んで、そのすぐ外側の原子は大きく変位を起こすことが示唆された。こうした結果とx線回折の結果とは必ずしも一致しておらず、計算の精度やクラスター芯の構造が動的に揺らいでいる可能性などを更に検討しなければならない。またAl-M(M=Li, Mg)Bergmann相に対する電子構造計算から、擬ギャップの出現に原子種の選択性が大変に重要であり、LiとMgの置換は価電子濃度の制御以上の効果があることが示された。
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Research Products
(1 results)