2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640374
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寺崎 一郎 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (30227508)
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Keywords | 高温超伝導 / 反強磁性絶縁体 / 銅酸化物 / 誘電率 / 誘電緩和 / 金属-絶縁体転移 / 電荷秩序 / 電荷不均一 |
Research Abstract |
本申請研究の目的は,(1)高温超伝導体母物質およびCuO, Bi_2CuO_4,Sr_2CuO_3などの2価の銅を含む反強磁性絶縁体の単結晶を作製し,(2)その誘電率の温度依存性・異方性・周波数依存性を精密に測定し,(3)母物質の誘電応答の特徴を実験的に明らかにするものである。 平成13年度は,80K以下の低温で1MHz以下のインピーダンスを精密に測定できる装置の構築を行った。1MHz以下の周波数帯で誘電率を疑4端子法で測定できる試料ホルダーを設計・作製し,すでによく評価された高温超伝導母物質Bi_2Sr_2Dy_<1-x>Er_xCu_2O_8単結晶試料(x=0,0.5,1)を用いて誘電率を300Kから4.2Kまで測定に成功した。 得られたデータは,80K以上で,高周波側のデータおよび過去の測定結果とよく一致した。誘電応答を解析すると,誘電緩和の現象論であるCole-Coleの式でよくフィットできることがわかった。そのフィッティングパラメタである緩和時間τとそのひろがりの指数βが300Kから4.2Kまで求められ,τは低温に向かって4桁以上増大した。これは過減衰したローレンツ模型から求められる関係式を満足している。βは室温で0.5程度の値をとり,低温に向かって単調にゆるやかに増大した。 これらの結果は,高温超伝導体母物質では,電荷の不均一(絶縁相と伝導相の共存)が生じており,その不均一が抵抗率の大きさと誘電緩和時間を規定していることを意味している。また低温に向かってβが増大することは,絶縁相の体積分率が増大していることを示唆している。
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Research Products
(1 results)