2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640391
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 勝弘 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50140801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 岳生 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80332956)
寺井 章 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20192651)
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Keywords | 量子ドット / カオス / コンダクタンス=ピーク / 準位統計 |
Research Abstract |
最近、カオスを示す2次元量子ドット(スタジアム型のナノビリアードなど)に一対の伝導性リード線をトンネル接合し、コンダクタンスのゲート電圧依存性、磁場依存性を測定するクーロンブロッケードの実験が活発である。しかし、理論はランダム行列理論の粋を越えていない。 ゲート電圧、あるいはフェルミエネルギーを変調させる時、addition energyが共鳴条件を満足させるところで、スパイク状のコンダクタンス=ピークがあらわれる。ピーク位置は(一電子エネルギーにばらつきが無い限り)ほぼ等間隔である。しかし、ピークの高さはきわめて不規則で、しかも非ユニバーサルである。 コンダクタンス=ピークの高さは、量子ドットとリード線との点接触部での波動関数の振る舞いで決まる。したがって、ピークの高さの相関を調べるには、一電子準位の波動関数の間の相関を考察する必要がある。ランダム行列理論では波動関数の相関を無視しているので、この種の考察はできず、Porter-Thomas型のユニバーサルな指数分布を導くだけである。実験では、コンダクタンス=ピークの間に強い相関がありい振動構造なども報告されている。 これを明らかにするために、量子ドットとリード線との点接触部から出発し、同じ場所に戻ってくる周期軌道の性質を調べた。ここでいう周期軌道は、平均場ポテンシャル中の一電子軌道を意味する。平均場近似(ジェリウムモデル)は、高い電子数密度の量子ドットの場合には正当化できる。周期軌道を用いた半古典論により、粗視化されたコンダクタンス=ピークの揺らぎを記述できることがわかった。 さらに、サイドワークとして、少数電子を閉じ込めた円状量子ドットの準位統計を調べると、多体効果によるウイグナー型の準位間隔分布が生じることがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Nakamura, J.Ma: "Negative MagnetoResistance in Three-Dimensional Quantum Billiards : Role of Arnold Diffusion"J. of Phys. Soc. of Japan. 72巻. 1-4 (2003)
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[Publications] A.Budiyono, K.Nakamura: "Periodic-Orbits Picture of Fractal Magnetoconductance Fluctuations in Quantum Dots"Chaos, Solitons and Fractals. 17巻. 89-97 (2003)
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[Publications] T.Fukuo, K.Nakamura: "Dynamics of Quantized Photon and Electron Field in Semiconductor Multi-Subbands Superlattices"J. of Phys. Soc. of Japan. 71巻. 2891-2897 (2002)
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[Publications] A.Budiyono, K.Nakamura: "Self-Similar Magnetoconductance Fluctuations Induced by Self-Similar Periodic Orbits"J. of Phys. Soc. of Japan. 71巻. 2090-2093 (2002)
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[Publications] K.Tanimoto, T.Kato, K.Nakamura: "Phase Dynamics in SQUID's : Anomalous Diffusion"Phys. Rev. B. 66巻. 012507-012510 (2002)
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[Publications] T.Kato: "Correlation effects on Josephson currents through the one-dimensional Josephson arrays"J. Phys. Chem. Solids. 63巻. 1515-1518 (2002)
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[Publications] T.Kato: "Boundary effects on Josephson current through one-dimensional Josephson junction arrays"Phys. Rev. B. 65巻. 132511 (2002)