2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640410
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
池田 研介 立命館大学, 理工学部, 教授 (40151287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 公也 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (70188001)
首藤 啓 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (60206258)
石井 豊 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (20304727)
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Keywords | トンネル効果 / カオス / 半古典論 / 複素力学系 / 多自由度トンネル効果 / カオス的トンネル効果 |
Research Abstract |
動的トンネル問題に関して本研究のもっとも重要な成果である定理"カオス的トンネル集合(我々がいうLaputa集合)がJulia集合内で稠密である"の物理的解釈が進展した。定理は時間無限大の漸近極限でなりたつので実際の時間有限での物理的な結果との対比解釈がなければ実際の場合に適用できない。 カオスの<理想極限>である馬蹄形極限、双曲極限の場合と現実的局面である<混合相空間>の場合それぞれに関して、漸近極限で成り立つ定理の有限時刻での整合性が数値実験との対比において明らかにされつつある。特に数学的議論では触れる事ができない実際の波動関数の構成にあたって定理の有効性と限界が明瞭になってきた。これら膨大な数値的結果と数学的論証を総合報告すべく目下総括中である。 一方、多次元障壁トンネル問題の周期的摂動モデルの研究では昨年度発展させた準断熱領域の理論を、観測量であるトンネルスペクトルの計算に応用することができ、preliminaryな結果をいくつか得る事ができた。トンネルスペクトルは我々が主張するトンネル機構が動作する領域で従来の理論が予言するものと著しく異なる特徴的形状を持つ事が明らかになった。この形状は新しい複素古典トンネル機構の顕在化である。 以上我々の研究によってカオスが存在する下でのトンネル効果の機構が動的トンネル、障壁トンネルを問わず、鞍点の複素化された安定多様体-不安定多様体にある事が明瞭になった。これは複素半古典理論の目覚しい成果である。
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Research Products
(2 results)