2001 Fiscal Year Annual Research Report
広帯域グローバル地震記録の解析によるスロー地震の検出
Project/Area Number |
13640423
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
須田 直樹 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10222069)
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Keywords | スロー地震 / 地球自由振動 / 常時地球自由振動 / IRIS / GSN / GEOSCOPE |
Research Abstract |
現在、地球には大気・海洋を励起源とする微弱な常時自由振動が存在することが明らかになっている。このような微弱な常時励起のレベルを超えて、通常の地震とは異なるスロー地震により自由振動が励起されている可能性がある。このような地表付近でのスロー地震検出を目的として、自由振動のスペクトルを用いたイベント探索を行った。 今回はBeroza & Jordan(1990)と同様に、自由振動のモード励起の有無の検定の結果を用いてイベントの有無の検定を行う2段階の統計的検定法を用いた。ただし、検定統計量や数値的な方法を用いていることに違いがある。特に、検定法ではブートストラップ法とモンテカルロ法を利用した。解析には、IRIS GSNとGEOSCOPEの観測点からバックグラウンドノイズの小さい30観測点を選び、それらの1990-99年の10年分の上下動連続記録を用いた。解析したモードは、最もバックグラウンドノイズが小さい周波数帯である2.5-5mHzに固有周波数を持つ0S17から0S43の27個の伸び縮み基本モードである。 解析の結果、90年代の10年間でおよそ20個の未知のイベントを検出した。それらがISCカタログに未掲載の通常の地震ではないことは時系列データを見て確認した。今回検出した未知のイベントの75%は前半の5年間に起きていた。また、Beroza & Jordan(1990)では、1978-79年の旧IDAの10観測点の記録を解析して27個の未知のイベントを検出している。これは今回の結果に比べて1桁以上大きい頻度である。 このような解析時期による頻度の違いが有意かどうかは、データや方法の違いを考慮して今後慎重に検討する必要がある。また、今回の方法ではイベントの有無が分かるだけで、イベントの種類、起きた場所、大きさは分からない。それらも含めて探索できる方法の開発が今後の課題である。
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