2002 Fiscal Year Annual Research Report
古地磁気ベクトル永年変化の異方性(コアダイナミクスとの関連)
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13640424
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
田中 秀文 高知大学, 教育学部, 教授 (80108191)
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Keywords | 御嶽火山 / 中国内モンゴル / 地磁気エクスカーション / 古地磁気強度 / 古地球磁場強度 / 白亜紀 / 白亜紀地磁気静穏期 |
Research Abstract |
本年度は御嶽火山安山岩溶岩採取のための野外調査を実施し,その他に採取済みの国外の火山岩試料も加えて,昨年度購入した熱消磁炉を使用して古地磁気の方向と強度の測定を行った. 1.御嶽火山の安山岩溶岩は,その多くについて富山大・小林と産総研・松本により詳細な火山層序と正確なK-Ar年代値が決定されており,70〜40万年前の古期御嶽と10〜2万年前の新期御嶽に大別される.それらの安山岩溶岩の採取地点に関する詳細について,富山大・小林と研究打ち合わせを行った後,御嶽火山にて定方位試料採取のための野外調査を実施した.採取にはエンジンドリルを使用し,オリエンテーションにはサンコンパスまたは磁気コンパスを使用した. 2.これらの安山岩試料について,岡山大学固体地球研究センターにて振動試料型磁力計を用いて磁気ヒステリシスやキューリー温度などの岩石磁気パラメーターを測定した.各溶岩について得られた岩石磁気的性質について吟味した結果,古地磁気の方向測定にはすべての試料が適しており,古地磁気の強度測定についても多くの試料が可能であることが判明した. 3.既存の熱消磁炉に昨年度購入した炉の合計2台で段階熱消磁やテリエ法による古地磁気強度実験を行った.古地磁気方向測定が得られなかったサイトが1箇所あったが,落雷による影響で例外的なことである.古地磁気の強度については,上記の岩石磁気性質を吟味したものの,実験の成功率は3割程度にとどまった.特筆すべきは,新期御嶽火山の地磁気エクスカーションを与えるサイトからは現在の値の十分の一程度という微弱な古地磁気強度が求まったことである.これにより,富山大・広岡による火山灰の測定からその存在の可能性が指摘されていた御嶽火山の地磁気エクスカーションが,本研究による溶岩からの同定により確実となった. 4.以前,テクトニクス研究の目的で採取されていた,9千万年前の中国内モンゴルの白亜紀玄武岩についても古地磁気強度実験を行った.現在の値の5分の1から2分の一程度の古地磁気強度が得られ,地磁気逆転が無かった白亜紀地磁気静穏期は,地磁気の強度も小さかったという説を支持する結果が得られた.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tanaka, H., M.Kono: "Paleointensities from a Cretaceous basalt platform in Inner Mongolia, northeastern China"Phys. Earth Planet. Inter. 133. 147-157 (2002)
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[Publications] Zheng, Z., H.Tanaka, Y.Tatsumi, M.Kono: "Basalt platforms in Inner Mongolia and Hebei Province, northeastern China : New K-Ar ages geochemistries and revision of naleomagnetic results"Geophys. J. Int.. 151. 654-662 (2002)
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[Publications] Herrero-Bervera, E., E.Canon-Tapia G.P.L.Walker, H.Tanaka: "Magnetic fabrics study and inferred flow directions of lavas of the Old Pali Road Oahu Hawaii"J.Volcanol. Geotherm. Res.. 118. 161-171 (2002)