2001 Fiscal Year Annual Research Report
人工地震探査のための高精度・高分解能地震波形計算コードの開発
Project/Area Number |
13640425
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹中 博士 九州大学, 理学研究院, 助教授 (30253397)
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Keywords | 1次元構造 / 平面波 / 地震波 / 差分法 / スタガード格子 |
Research Abstract |
今年度は,第一段階として,鉛直方向に物性が任意に変化する媒質(1次元構造)の平面波入射問題と解く新しい差分法の計算コードを開発した.媒質が均質な層からなる水平成層構造の場合は,Propagator matrix法等の半解析的な手法で解くことができるが,速度が勾配を持っていたり,任意に不均質な場合には,1次元構造と言えども差分法等の数値的な手法で解かざるを得ない。このような問題を差分法で計算するとき,従来の2次元および3次元の差分法コードを用いると多大な計算時間とメモリーを必要とする.そこで,本研究では,Snellの法則を用いることにより問題を1次元で解く方法を開発した.はじめに3次元の地震波における支配方程式である弾性体の運動方程式と構成方程式(フックの法則)からSnellの法則を用いて鉛直方向にのみ不均質な構造モデルにおける支配方程式を導出した.次に,2次元P-SV, SHおよび3次元波動のそれぞれについて,導出した速度一応力型の支配方程式(空間と時間についての1次の連立微分方程式)をスタガード格子を用いて空間4次精度,時間2次精度の差分法で離散化し,それをもとに計算コードを作成した.自由表面条件は,応力については,地表格子点にある応力のz成分を0とし,自由表面より半格子上にある仮想点の応力のz成分は,自由表面より半格子下の値の符号を逆にして与える.速度については,自由表面より半格子上にある仮想点の速度は,0とする方法と自由表面より半格子下にある速度と同じ値を与える方法の2種類を試した.その結果,後者の方法が前者の方法より精度良く計算できることを確認した.今回作成した計算コードを用いて,地殻構造が速度勾配をもつ九州地方の標準地下構造モデルにおける平面波入射応答波形を計算した.今後今回開発した差分法のスキームを基にして人工地震探査用の波形計算コードの開発を進めて行く予定である.
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