2001 Fiscal Year Annual Research Report
非線形Full wave計算法による雷上空大気発光現象の解析
Project/Area Number |
13640447
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長野 勇 金沢大学, 工学部, 教授 (50019775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木谷 聡 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (30251937)
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Keywords | 雷放電 / 電磁波パルス / 電離層 / 発光現象 / elves / full wave計算法 / 電子加熱 / 衝突周波数 |
Research Abstract |
大規模な雷雲-地上間の雷放電に伴い観測される下部電離層(高度85〜105km)中の発光現象「elves」は、雷放電電流から放射されるVLF(数kHz〜数十kHz)帯の大振幅電磁波が下部電離層中で窒素分子を励起することにより発生すると考えられている。本研究では、Full wave計算法を用いてVLF電磁波パルスの下部電離層における伝搬を厳密に計算することで、elvesの発生機構を明らかにすることを目的とする。full wave計算法では、水平層状の電離層-自由空間-大地において、雷放電電流から放射されるVLF電磁波パルスの伝搬を3次元的に厳密に解くことができる。しかしfull wave計算法は線形計算であるため、大幅幅電磁波(特に電界成分)による下部電離層の電子加熱と、それによる電子密度及び衝突周波数の時間変化(増加)を扱うことができない。そこで本研究では、これら媒質の時間変化が電離層中を伝搬するホイスラモード波を減衰させることに着目し、波の減衰の効果のみを近似的に計算に含める手法を開発した。その結果、高度85〜105kmで数百μsのうちに直径数百kmにわたってリング状に広がっていくelvesの時間空間発展を計算することに成功した。また、地球磁場の影響でelvesリングが南北で非対称になる可能性を示した。 なお、今回のFull wave計算には数億回以上の平面波の電離層伝搬計算が必要となるが、各計算が独立しているため並列計算が可能である。従来は40台程度のワークステーションを用いて並列計算していたが、今回は最新のCPUを搭載したPCを10台購入して並列計算システムを構築したことにより、従来の計算よりも約3倍の高速化を実現することを成功した。今後はこのシステムを用いて、様々なパラメータを用いたFull wave計算を行い、elvesの発生メカニズムを詳細に探っていく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Yoshimura, I. Nagano, S.Yagitani, S. Shinmura: "FDTD analysis of electromagnetic shielding effectiveness of obliquely incident waves"Transactions of IEE of Japan. 120-A・10. 964-965 (2001)
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[Publications] 高野 博史, 長野 勇, 八木谷 聡, 福岡 将, 松本 絋: "地球磁気圏遠尾部におけるLobe Trapped Continuum Radiationの伝搬特性"電子情報通信学会論文誌. J84-B・12. 2358-2366 (2001)