2002 Fiscal Year Annual Research Report
地表地質調査への重力測定の併用―秩父帯東半部における黒瀬川地帯の解明
Project/Area Number |
13640465
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
坂 幸恭 早稲田大学, 教育学部, 教授 (10063687)
|
Keywords | 秩父帯 / 黒瀬川地帯 / 名栗断層帯 / 蛇紋岩 / 重力異常 |
Research Abstract |
調査対象とした地域のうち,1.志摩半島以西の紀伊半島中・東部については,道路網が不完全であるため,重力測定地点を均等かつ密に設定することができず,重力測定結果を地質調査の予察的データとしたり,野外調査で得た地質情報の補完に供することができなかった.2.志摩半島では,この地域の黒瀬川地帯を代表する五ヶ所-安楽島構造線の西端部付近(三重県南勢町五ヶ所浦)において,同構造線に伴う蛇紋岩破砕帯が顕著な負の重力異常として表れ,地表調査への重力調査併用の有効性が実証された.また,測定データに基づいて地表調査では推定不可能な地下構造像が得られ,志摩半島秩父帯についての従来の地体・構造発達モデルとは異なるモデルを構築することができた.3.もう1つの対象地域である関東山地南東縁部の秩父帯では,東京都日の出町坂本から埼玉県名栗村市場にかけて北北西-南南東に走る名栗断層沿いに多種類の黒瀬川岩石を地表調査によって発見し,同断層が,九州から志摩半島東岸まで連続することが確認されている黒瀬川地帯の東端部に当たることを確認し,これらの岩石が産する断層帯を名栗断層帯と命名した.また,同断層帯に伴う破砕帯が,断続する相対的負の重力異常部として表れることを確認した.これを受けて,名栗断層帯の北方から北西方延長地域を対象に,重点的に重力調査をおこなった.その結果,同断層帯をそのまま北北西方に延長させた線上に,相対的負の重力異常部が断続することを確認し,これが名栗断層帯の北北西方延長である可能性を明らかにした、ただ,名栗断層と並んで,関東山地における黒瀬川地帯とされている山中地溝帯西部の黒瀬川岩石につながる方向に調査範囲孝広げる余裕がなく、関東山地の黒瀬川地帯の全容を解明するには至っていない.上記北北西方延長部とともに秩父盆地およびその西方の山中地溝帯南縁部の精査が今後の課題として残されている.
|
-
[Publications] 加藤潔, 清水宏典, 坂 幸恭: "紀伊半島中央部,三重県宮川村〜奈良県天川村の秩父累帯"地質学雑誌. 108・9. 557-574 (2002)
-
[Publications] 島村哲也, 藤田和弘, 猿渡ふみよ, 松田将志, 坂 幸恭: "関東山地東縁部の黒瀬川地帯-名栗断層帯"地質学雑誌. 109・2(未確定). (2003)