2002 Fiscal Year Annual Research Report
炭素同位体比曲線による上部白亜系化石年代面の有用性指標の確立
Project/Area Number |
13640469
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長谷川 卓 金沢大学, 理学部, 助手 (50272943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
利光 誠一 (独)産業技術総合研究所, 地球科学情報研究部門, 主任研究員
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Keywords | 炭素同位体比 / 蝦夷層群 / イノセラムス / アンモナイト / 国際対比 / 年代層序 |
Research Abstract |
本年度は主要な地質調査を行った.調査地は北海道の羽幌,古丹別および穂別地域である.約20日間の調査で,特に古丹別地域に重点を置いた.そこでは3〜5m間隔で同位体比測定用の試料を採取した.また,露頭から産出する,破片も含む全ての大型化石を鑑定し,1/1000のルートマップを作成した.約50試料について,信州大学の質量分析装置で炭素同位体比の分析を行ったが,装置の調子不良により,来年度の再測定が必要である. 穂別地域では浮遊性有孔虫化石を良好に産出し,特に年代指標性が高いと思われる,KS21/22境界を確認した.また,炭素同位体比の分析(信州大学の装置を借用)から,その境界付近に炭素同位体比ピークがあることが分かったが,古丹別地域や大夕張地域の過去の研究でも類似のピークが認められている.それは最近ヨーロッパで広域対比可能なものとして議論されているものと同一である可能性が高い.さらに調査が必要である. 羽幌地域では,各イノセラムス帯内で有孔虫用の試料を採取し,有孔虫殻の炭素・酸素同位体比を測定した.その結果,ほぼオリジナルな値を残している試料が多いこと,C02をメタンに還元するバクテリアの活動があったこと,当時の海水温が表層で26度,海底で18度程度であったことなどが示唆されている. また,試料中に含まれる有機物を最新の設備で同定するため,カナダ地質調査所を訪問した.ここでは,レーザー照射走査蛍光顕微鏡などを使用し,含まれている有機物を観察した.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hasegawa, T.: "Possible application of carbon isotope stratigraphy for East Asian clastic sediments : a tool for stratigraphy or paleoenvironments"Memoir of the Fukui Prefectual Dinosaur Museum. (in press).
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[Publications] 長谷川 卓: "有機物の炭素同位体比を用いた古環境解読の試み 川幡穂高編 環境を記録する化学物質"地質ニュース. (印刷中).
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[Publications] 長谷川 卓, 安藤寿男, 栗田裕司: "寒冷化を始めた温室地球環境の解明-IODPによる宮城沖掘削の意義と問題点-"徳山英一, 平朝彦, 木下肇編, 特集「深海掘削と新しい地球生命科学」月刊地球. (印刷中).
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[Publications] 土屋 健, 長谷川 卓, リサM.プラット: "北海道蝦夷層群における炭素同位体比曲線とイノセラムス生層序の対応関係"地質学雑誌. 109. 30-40 (2003)
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[Publications] Hasegawa, T. et al.: "Upper Cretaceous carbon isotope stratigraphy of terrestrial organic matter from Sakhalin, Russian Far East : a proxy of carbon isotopic composition of atmospheric C02"Palaeogeography Palaeoclimatology Palaeoecology. 189. 97-115 (2003)
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[Publications] Hasegawa, T.: "Cretaceous terrestrial paleoenvironments of northeastern Asia suggested from carbon isotope stratigraphy : increased atmospheric pCO2-induced climate"Journal of Asian Earth Sciences. (in press).
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[Publications] 長谷川 卓, 西 弘嗣, 岡田尚武, 坂本龍彦 他: "白亜紀の海洋無酸素事変(OAE)1bの高分解能角解析.総特集-古海洋学の最近の進展と古生物学-地球史における海洋環境研究の最前線-"月刊地球. 24. 454-460 (2002)