電子対密度関数の理論と量子化学的応用

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13640495
• Research Institution: Muroran Institute of Technology
• Principal Investigator: 古賀 俊勝 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (90113688)
• Keywords: 電子対密度 / 相対運動 / 質量中心運動 / 原子 / 総和則

Research Abstract

原子・分子中の電子対の分布や挙動の情報は、電子対相対運動(intracule)密度I(u)と電子対質量中心運動(extracule)密度ER含まれる。さらに、原子系における電子対の運動は球平均intracule密度I(u)及び球平均extracule密度dRによって特徴付けられる。これらの電子対密度関数は、電子・分子における電子対の相対運動と全体運動を直接に把握する重要な密度関数であるにもかかわらず、今日まで、それらの論理的な構造の検討も科学的応用も十分なされていない。本研究課題の目的とするところは、二つの電子対密度関数の理論的構造を解明し、これらを積極的に量子化学の問題に応用することによって、原子・分子の世界おける電子の運動を新しく二体問題の観点から理解することである。本年度得られた成果の要点を以下にまとめる。
第一に、多電子原子において2電子ベクトルar_I+br_jの大きさがqとなる確率密度を表す一般化電子対密度関数g(q;a,b)を導入した。Aとbはパラメータである。関数g(q;a,b)はintracule密度h(u)、extracule密度dR、および一電子密度pRをなめらかに結ぶ有用な関数であることを議論した。
第三に、多電子原子において、電子間距離がゼロの電子対の確率密度関数(coalescence 関数)および質量中心半径がゼロの電子対の確率密度関数(counterbalance 関数)を新たに導入し、これらの理論的特性や実験結果との関係を考察した。

Research Products

• [Publications] T.Koga: "A Generalized Electron-Pair Density Function for Atoms"Journal of Chemical Physics. 114・1. 72-75 (2001)
• [Publications] T.Koga: "Electron-Electron Coalescence and Counterbalance Functions for Atoms"Journal of Chemical Physics. 114・1. 102-107 (2001)
• [Publications] T.Koga: "Sum Rules for Generalized Electron-Pair Moments"Journal of Chemical Physics. 114・5. 2511-2512 (2001)
• [Publications] T.Koga: "Electron-Electron Coalescence and Counterbalance Functions in Momentum Space"Journal of Physics B. 34・8. 1383-1393 (2001)
• [Publications] T.Koga: "Sum Rules for Generalized Electron-Pair Moments of Hartree-Fock Orbitals"Journal of Chemical Physics. 114・19. 8382-8385 (2001)
• [Publications] T.Koga: "On the Electron-Electron Coalescence Function in Hartree-Fock Theory"Chemical Physics Letters. 344・1-2. 120-124 (2001)