2001 Fiscal Year Annual Research Report
ハミルトニアンの解析接続法による分子の超励起状態および光イオン化過程の理論的研究
Project/Area Number |
13640516
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
薮下 聡 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50210315)
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Keywords | 複素座標法 / 超励起状態 / 光イオン化 / 共鳴状態 / スピン軌道相互作用 / 振動数依存分極率 / 自動イオン化 / 軌道指数最適化 |
Research Abstract |
原子・分子に見られる量子力学的共鳴状態を取り扱う手法の一つである複素座標法を具体的に応用するために、その基底関数に含まれる複素数軌道指数の自動最適化の可能性を検討した。 (1)簡単な1次元のポテンシャル散乱モデルを用いて、基底関数の自動最適化を行うプログラムを作成し、その実用性を調べた。また同時に、Cooley法によって直接数値的に複素数共鳴エネルギーを求めるプログラムを作成し、先に述べた基底関数展開法と詳細な比較が出来るようにした。この結果、1s,2s,3s..,ksの基底関数が共通の複素数軌道指数を持つ場合に、かなり高精度の計算が可能であることが分った。さらに、1s,2s,3s..,(k-1)sが共通の複素数軌道指数を持ち、さらに、ksが別の複素数軌道指数を持っように自由度を上げて、それぞれを独立に最適化させた結果、少ない基底関数でさらに良好な結果を得ることが出来た。次年度は、さらに効率よく複素数の最適化が出来るようなアルゴリズムを考案する予定である。 (2)我々の以前の計算結果より、H_2の2電子励起状態の位置と共鳴幅が、その電子相関の取り扱いによって、かなり特徴的な振る舞いをすることが分っている。つまり、共鳴位置に関しては、基底状態とはかなり異なった振る舞いをし、またその幅に関しては、内外相関を加えることで狭くなるのに対し、角度相関を加える場合には逆に広くなることなどである。この2電子の相関の様子を二電子密度演算子を使って、定量的に議論するため、プログラム作成を行った。次年度に具体的応用計算を行う予定である。 (3)その他、電子散乱状態用に複素数軌道指数を持つスレータ型軌道を、3〜6個のガウス型軌道の線形結合で、様々な拘束条件をつけて最適化し、近似することを行った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Asano: "Theoretical study on the nonadiabatic transitions in the photodissociation processes of Cl_2"Journal of Physical Chemistry, A. 105・43. 9873-9882 (2001)
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[Publications] M.Sugawara: "Coherent control of wavepacket dynamics by locally designed external field"Chemical Pysics Letters. 350. 253-259 (2001)
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[Publications] K.Takahashi: "Theoretical analysis of the CH stretching overtone vibration of 1, 2-dichloroethylene"Journal of Physical Chemistry, A. (印刷中). (2002)
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[Publications] T.Ikeno: "Theoretical analysis of the reaction pathway and the effect of the axial ligand for the 3-oxobutylideneaminatecobalt(II) complex catalyzed cyclopropanation"Organic Letters. 4・4. 517-520 (2002)