2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヘミアセタール中間体を経由するPd錯体を用いる立体選択的環化反応の開発と糖合成
Project/Area Number |
13640527
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
宮澤 眞宏 富山大学, 理学部, 助教授 (70209899)
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Keywords | パラジウム触媒 / ヘミアセタール / ヘテロ環化反応 / 糖 / オリゴ糖 / 立体選択的 / リボース / スピロケタール |
Research Abstract |
本研究は,当研究室で開発したPd2価錯体による分子内ヘテロ環化反応を更に発展させた,ヘミアセタール中間体を経由する分子内ヘテロ環化反応を基盤とする反応性や立体選択性の検討,および糖類などの天然物の立体選択的合成を目標として行われたものである.本年度の成果の概要を以下に記す. 1.ヘミアセタールを経由するヘテロ環化反応の最適化 基質に7-hydroxy-3-phenyl-5-heptenalを用い,種々の2価のPd触媒による環化反応を試みた.その結果,PdCl_2(PhCN)_2の触媒活性が最も高い事がわかった.またヘテロ求核剤として種々のアルコールを用い反応を行ったところ,1級,2級,3級何れのアルコールを用いても反応は50〜80%の収率で進行する事がわかった.また得られた2-alkoxy-4-phenyl-6-vinyltetrahydropyranの4,6位の相対配置は,高立体選択的にcisに制御されていた.特に2,3級アルコールを用いると100%のcis選択性であった. 2.単糖の合成 単糖のD-riboseの合成を行った.出発原料であるcis-2-butene-1,4-diolより13段階を経て環化前駆体を合成し,ヘテロ環化反応を行い,高立体選択的に環化体を得た.その後2段階でD-riboseの全合成に成功した. 3.スピロケタールの合成 分子内にケトンとアルコールを共存させ,ヘミアセタールを形成しながら前述のヘテロ環化反応を行えばスピロケタールが得られると考えた.そこで7-oxo-5-phenyl-2-dodecene-1,11-diolを基質に用い,PdCl_2(MeCN)_2触媒を用い反応を行ったところ,高立体選択的にスピロケタールを合成することができた.
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