2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640539
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西野 宏 熊本大学, 理学部, 教授 (50145281)
|
Keywords | 有機過酸化物 / 1,2-ジオキサン / 2-キノリノン類 / ピラゾリジン-3,5-ジオン類 / 酢酸マンガン(III) / ラジカル反応 / 触媒酸化反応 / 抗マラリア活性 |
Research Abstract |
本申請研究では申請者が開発した1,2-ジオキサン骨格生成反応を利用して、窒素やイオウを含む2,3-ジオキサポリシクロアルカン類を標的化合物とし、酢酸マンガン(III)を用いたラジカル反応による抗マラリア活性をもつ新規な環状過酸化物の合成を目的とした。本申請研究は抗マラリア活性をもつ天然物artemisininの全合成を行うのではなく、合成的に簡便で、しかもartemisininと同程度か、それ以上の抗マラリア活性をもつ有機過酸化物の合成を目指した。含窒素活性メチレン化合物として4-ヒドロキシ-2-キノリノン類、ピラゾリジン-3,5-ジオン類およびバルビツール酸誘導体を選び、種々のアルケン類との酢酸マンガン(III)触媒酸化反応を調べた。その結果、次のようなことがわかった。1.4-ヒドロキシ-2-キノリノン類との反応からはビス(ヒドロペルオキシエチル)キノリノン類が収率よく得られた。 2.3位に置換基をもつ4-ヒドロキシ-2-キノリノン類の同様の反応からはモノヒドロペルオキシエチル体とベンゾ-2,3-ジオキサビシクロ[4.4.0]デカノン類が得られた。 3.4-ヒドロキシ-2-キノリノン類との反応を沸騰酢酸中で行うと、2-エテニルキノリノン類とベンゾ-2-オキサビシクロ[4.3.0]ノナノン類が同時に生成した。 4.ピラゾリジン-3,5-ジオン類とアルケン類を用いた酢酸マンガン(III)触媒酸化反応から、ビス(ヒドロペルオキシエチル)ピラゾリジン-3,5-ジオン類が定量的に得られた。構造は単結晶X線構造解析によって決定された。 5.ピラゾリジン-3,5-ジオン類やバルビツール酸誘導体を直接酢酸マンガン(III)触媒酸化反応にかけると、直接ヒドロペルオキシ基をそれぞれの複素環に導入できることを発見した。この構造も単結晶X線構造解析により決定された。 6.ピラゾリジン-3,5-ジオン誘導体から得られた過酸化物の抗マラリア活性試験では弱い活性が認められた。しかし、マラリア原虫に対する選択毒性は認められなかった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Satoaki Onitsuka, Hiroshi Nishino^*: "Synthesis of Polyfunctionalized Furans from 1-Aryl-2-pentene-1,4-diones"Tetrahedron. 59. 755-765 (2003)
-
[Publications] Shunsuke Jogo, Hiroshi Nishino, ^*Mikio Yasutake, Teruo Shinmyozu: "Manganese(III)-based intramolecular macrocyclization of 3,3-diphenyl-2-propenyloxyoligomethylene 3-oxobutanoates"Tetrahedron Lett.. 43(50). 9031-9034 (2002)
-
[Publications] Md.Taifur Rahman, Hiroshi Nishino^*: "Pressure Effect of Manganese(III)-Based Oxidative Free-Radical Substitution of Aromatic Compounds"Cryogenices Report of Kumamoto University. 13. 6-10 (2002)