2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640540
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三島 正章 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助教授 (20037279)
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Keywords | 銅イオン親和力 / アセトフェノン / ピリジン / リチウムイオン親和力 / 置換基効果 / 結合エネルギー / イオン結合性 / 共有結合性 |
Research Abstract |
遷移金属イオン-有機分子間相互作用の本質を解明することを目的として、本年度は、気相におけるアセトフェノン及びピリジン誘導体の銅イオン親和力の決定と対応する銅イオン会合体の構造的特性の理論計算を行った。 アセトフェノン誘導体の銅イオン親和力に及ぼす置換基効果は対応するプロトン親和力に比較して30%小さく、またπ-電子供与基の共鳴効果の寄与の低下が明らかになった。この結果は銅イオンとカルボニル酸素原子間の共有結合性の低下を示唆し、静電的相互作用が支配的であるリチウムイオン親和力との比較から、銅イオン酸素間の結合はプロトンとリチウムイオンとの中間的性格を有することが結論された。 ピリジン誘導体の銅イオン親和力の置換基効果はリチウムイオン親和力に類似し、静電的寄与の重要性を示唆したが、ピリジンだけでなく他の窒素塩基や酸素塩基を含めた検討では、銅イオン親和力はリチウムイオン親和力に対して有機分子の種類に依存して大きく分散したプロットを示したのに対して、プロトン親和力との間では分散挙動は小さく、銅イオンと窒素原子間の相互作用においても共有結合的性格が含まれることが示唆された。この結論は理論計算から得た会合体イオンの構造的特性に一致した。つまり、ピリジン誘導体の会合体イオンにおけるN-H, N-Li, N-Cuの結合距離に及ぼす置換基効果はN-Cu結合はN-HとN-Liの中間的挙動を示した。 金属イオンと中性分子間の結合特性の解析には結合エネルギーに及ぼす置換基効果の大きさと同時に、金属イオン親和力とプロトン親和力の比較の際に観測される有機分子の種類に依存した分散パターンの解析が重要であることが明らかになった。分散挙動の原因には種々の要因が考えられるが,その詳細の解明を現在進めている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Maki Irie: "Gas-Phase Acidities of Aryldimethylsilanes"J. Chem. Soc. Perkin Trans. 2. ・6. 923-928 (2001)
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[Publications] Ilmar A. Koppel: "The Enormous Acidifying Effect of Supersubstituents =NSO2CF3 on Acidity of Derivatives of Benzenesutfonamide and para Toluenesulfonamide in the Gas Phase and in Dimethyl Sulfoxide"J. Che,. Soc. Parkin Trans 2. ・1. 229-232 (2001)
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[Publications] Ilmar A. Koppel: "Intrinsic Basicities of Phosphorus imines and Ylides"J. Phys. Chem. A. 105・41. 9575-9586 (2001)