2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規アルキルコバロキシム錯体の合成と分子間固相反応の開発
Project/Area Number |
13640547
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
新井 祥生 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (40202725)
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Keywords | 固相光反応 / コバロキシム錯体 / X線結晶構造解析 / 異性化反応 / 酸素挿入反応 / コバルト錯体 / コバルト-炭素結合 / アルキルジオキシ錯体 |
Research Abstract |
前年度の研究により合成した様々な軸配位子を有するγ-(N-フェニルカルバモイル)プロピルコバロキシム錯体(1)や新たに合成したγ-(N-メチル-N-トシルカルバモイル)プロピルコバロキシム錯体(2)の結晶を細粉化して可視光を照射すると、二段階異性化反応が進行し、β置換錯体、α置換錯体と分解生成物のオレフィンが得られた。軸配位子としてアニリンが配位した1に3600秒光照射を行った場合、γ置換錯体55.3%、β置換錯体9.0%、α置換錯体2.8%、(E)-2-ブテンアミド8.5%、3-ブテンアミド24.4%であった。軸配位子としてメチルジフェニルホスフィンが配位した2に3600秒光照射した場合、γ置換錯体75.2%、β置換錯体6.8%、α置換錯体18.0%が得られた。オレフィンは生成しなかった。2の方が反応基上により嵩高い置換基を有するにも関わらず、反応性は高い。この原因を解明するために1のX線結晶構造解析を行ったところ、反応基は分子間水素結合で束縛されており、かつ反応基のまわりの自由空間がタイトで反応基が極めて動きにくい構造をしていることがわかった今後2のX線結晶構造解析を行って比較検討する予定である。 次に、平面配位子に嵩高いジフェニルグリオキシムを用いたβ-アリルオキシエチル錯体(3)を合成し固相光反応をおこなったところ、反応基が異性化しかつコバルト-炭素結合に酸素が挿入した(α-アリルオキシエチル)ジオキシ錯体が生成した。軸配位子としてベンジルアミンが配位した3に3600秒光照射を行った場合、β置換錯体8.2%、α置換錯体7.6%、酸素挿入α置換錯体84.2%、が得られた。また反応基が異性化しないで酸素が挿入した錯体は得られなかった。酸素が挿入されるには、反応基は大きくコバロキシム平面と逆方向に移動しなければならないが、反応基の異性化によりその方向の空間に大きく空隙ができるために、酸素が挿入反応の進行が可能になるからだと考えられる。現在、さらにγ-フェニルプロピル、β-フェノキシエチル、β-フェニルエチル基など様々な反応基を有するジフェニルグリオキシム錯体を合成し固相酸素挿入反応の検討中である。
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