2001 Fiscal Year Annual Research Report
新規3d-4f混合金属多核錯体の合理的・系統的合成とその物性
Project/Area Number |
13640561
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大場 正昭 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (00284480)
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Keywords | 希土類金属 / 3d-4f混合金属錯体 / 強磁性的相互作用 / スピン-軌道相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、3d-4f混合金属多核錯体の合理的合成法の確立と系統的物性評価を目的とする。本年度は、合成法の確立及び系統的な物性評価を目指した。 1.合成:配位子1,1'-(2,6-pyridylene)-bis(1,3-butanedione)(H_2L)を用いて、イオン半径差を利用した1段階反応による一連のM^<II>-Ln^<III>-M^<II>型三核錯体[M_2Ln(L)_2(NO_3)_3](M^<II>=Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn ; Ln^<III>=La, Ce,...Yb, Lu)の合成を行った。現時点ではM=Cu^<II>とNi^<II>では全てのLn^<III>を用いて合成、構造決定及び磁気測定が完了した。 2.構造:単結晶X線構造解析より、どの金属イオンの組み合わせにおいても、2つ配位子(L)^<2->が両端のβ-diketoneサイトで2つのM^<II>を、中心の2,6-diacylpyridmeサイトでLn^<III>を挟み込んだ直線三核構造の形成を確認した。M=Cuの場合は、2つの配位子の成す面角はほぼゼロであり、中心Ln^<III>がイオン半径に応じて基底平面より浮き上がっていた。一方M=Niでは、Ni-Ln-Niは常に直線配置となっており、中心Ln^<III>のイオン半径の減少とともに配位子間の捩れが増大し、最小のLu^<III>では面角は34.3°となった。両者を比較すると、中心Ln^<III>の位置するサイトの径はほぼ等しく、配位子との結合距離の長いNiではLn^<III>のイオンサイズに合わせて配位子が振れていた。M=Co, Znでも同様の捩れが観測された。 3.磁性:磁気測定においては、M-Ln間(Ln=軽希土類)に反強磁性的相互作用が観測された。また、Ln=Gd, Tb, Dyでは強磁性的相互作用が確認されたが、その他の重希土類ではスピン-軌道相互作用による磁気モーメントの減少が大きく、顕著な強磁性的相互作用は観測されなかった。現時点では結果の定性的な解釈にとどまっているため、スピン-軌道相互作用の定量的な取り扱いが今後の課題である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 臼杵直樹: "Three-Dimensional Bimetallic Ferrimagnets [Mn(L)]_3 [Cr(CN)_6]_<2'>nH_2O and Relevance to a Prussian Blue Analogue Mn_3[Cr(CN)_6]2_・12H_2O"Journal of Solid State Chemistry. 159. 328-335 (2001)
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[Publications] 井上克也: "A Three-Dimensional Ferrimagnet with a High Magnetic Transition Temperature (T_c) of 53 K Based on a Chiral Molecule"Angewandte Chemie International Edition. 44・2. 4242-4245 (2001)