2002 Fiscal Year Annual Research Report
低原子価白金族金属錯体を用いる光化学反応の触媒反応への展開
Project/Area Number |
13640564
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
坪村 太郎 成蹊大学, 工学部, 教授 (70188621)
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Keywords | 白金錯体 / パラジウム錯体 / 光化学反応 / 一重項酸素 / 脱ハロゲン反応 |
Research Abstract |
錯体の合成と同定 [M(triphos)(PPh_3)],[M(binap)_2](M=Pt, Pd)錯体の合成を行い,元素分析やNMRによって同定した.特に両者のパラジウム錯体は従来よりも純度の高いサンプルを得ることに成功した. 錯体とアルコールとの光化学反応 [M(triphos)(PPh_3)]錯体(M=PdおよびPt)とエタノールの光化学反応を行い,生成するアセトアルデヒドの量を検討した.光源には現有の水銀灯を,有機生成物の同定にはガスクロマトグラフを用いた. 光化学反応の解析 [Pt(binap)_2]錯体について,酸素との光化学反応初期に一重項酸素の生成が示唆されたので,これを確認することを行った.近赤外用の回折格子を搭載した小型分光器と,ゲルマニウムディテクタの組み合わせで簡易な近赤外光検出システムを構築し,一重項酸素の発する1270nmの発光の検出を試みた.直流検出ではうまく行かず,光チョッパを持ちいて励起光を20Hzで変調し,ロックインアンプを用いることで,一重項酸素による近赤外光の検出に成功した.励起状態の[Pt(binap)_2]錯体からエネルギー移動によって一重項酸素が生成すると考えた. 錯体とハロゲン化物の光化学反応 特に1,2-ジクロロエタンを用いて[M(triphos)(PPh_3)]や[M(binap)_2]との光化学反応を検討した.暗所では全く反応は進行しないが,可視光照射下でこれらの錯体は1,2-ジクロロエタンとすみやかに反応して,ほぼ定量的にエチレンを与えることを確認した.また,triphosを配位子として用いる[Pd(triphos)(PPh_3)]系の場合には,カリウムメトキシドを添加することによって,ターンオーバー数は少ないものの触媒的に脱ハロゲン反応が進行することを確認した.
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