2003 Fiscal Year Annual Research Report
多様な抗菌活性スペクトルを示す銀(I)および金(I)錯体の合成と構造活性相関
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13640566
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
野宮 健司 神奈川大学, 理学部, 教授 (80119354)
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Keywords | 抗菌抗カビ活性 / X線構造解析 / Rietveld解析 / 2-メルカプトプロピオン酸 / ヒノキチオール / チオセミカルバゾン / ビスマス(III)錯体 / 銀(I)錯体 |
Research Abstract |
平成15年度の交付申請書に従って、種々のタイプの金属錯体の構造解析を行い、錯体による抗菌作用の構造活性相関を調べて、以下のような新しい知見・成果を得た。 (1)AuSPコアおよびAuNPコアの直線2配位金(I)-トリフェニルホスフィン錯体のグラム陽性菌に対する選択的な抗菌活性は、配位子交換性と相関があり、配位子交換性を示す錯体は抗菌活性を示し、配位子交換性を示さない錯体は抗菌活性を示さなかった。 (2)2-メルカプトニコチン酸(H_2mna)配位子による水溶性銀(I)錯体Na_4(Tris)_2[Ag(mna)]_6の単結晶X線構造解析に成功した。それは"シクロヘキサンいす型"骨格のAg_6クラスターであり、既知の不溶性銀(I)錯体[Ag(Hmna)]_6の分子構造とよく似ていた。それらの抗菌活性を比較した。 (3)天然系抗菌剤であるヒノキチオール(Hhino:4-イソプロピルトロポロン)配位子による銀(I)錯体[Ag(hino)]_2は溶液中で光に不安定であり、単結晶X線回折に適した結晶が得られなかった。粉末X線回折データを用いたRietveld解析によりこの錯体の造決定をした。それはAg_2O_4コアの二核錯体であり、Ag-O結合錯体に特徴的な広いスペクトルの抗菌活性を示した。 (4)関連するヒノキチオール金属錯体[Al(hino)_3]および[Co(hino)_2(EtOH)]_2の構造解析を行い、抗菌性との相関を考察した。 (5)配位子自身が抗菌活性をもち、配位供与原子がN, SまたはO, Sのシッフ塩基多座配位子であるチオセミカルバゾンやセミカルバゾン配位子による亜鉛(II)錯体およびビスマス(III)錯体の合成および構造解析を行い、抗菌活性を考察した。ヒノキチオールやチオセミカルバゾン配位子の金属錯体の抗菌活性と貴金属錯体による抗菌活性を比較し、錯体による抗菌作用を考察した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Nomiya et al.: "Structure of hexanuclear silver(I) nicotinate cluster"Inorg.Chem.. 42. 8028-8032 (2003)
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[Publications] K.Nomiya et al.: "Silver(I), aluminium(III) and cobalt(II) complexes with hinokitiol"J.Inorg.Biochem.. 98. 46-60 (2004)
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[Publications] K.Nomiya et al.: "Ligand-exchangeability of 2-coordinate phosphinegold(I) complexes"J.Inorg.Biochem.. 95. 208-220 (2003)
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[Publications] K.Nomiya et al.: "Twelve zinc(II) complexes with thiosemicarbazones and semicarbaones"J.Inorg.Biochem.. 96. 298-310 (2003)
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[Publications] K.Nomiya et al.: "Three different polymorphs of copper(II) complex with hinokitiol"Inorg.Chim.Acta. 357. 1168-1176 (2004)
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[Publications] K.Nomiya: "Bismuth (III) complexes with thiosemicarbazones and semicarbazones"J.Inorg.Biochem.. (in press). (2004)