2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640570
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
安中 雅彦 千葉大学, 工学部, 助教授 (40282446)
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Keywords | 高分子ゲル / 乾燥 / メソスコピック / 中性子散乱 / X線散乱 |
Research Abstract |
高分子ゲルは3次元高分子網目と溶媒から構成される膨潤体で.通常メソスコピックスケールの網目相関長を有する.これまで高分子ゲルを構成する高分子間に働く分子間相互作用と,ゲルの示す巨視的な相挙動(体積相転移)について研究を行い,様々な相互作用を有するモノマーから構成される「ヘテロ高分子ゲルの相転移」についての研究を行ってきた.その結果,高分子を構成するモノマーがある条件を満たすヘテロな組成を持つといくつかの安定した相,「多重相」を取り,更に,ゲルのたどった熱力学的経路により,取りうる状態を決定する「状態記憶効果」が存在することを見いだした.これらは,ゲルを構成する分子間の「相互作用」が本質的に重要であり,実験・解析的考察からゲル内に「構造」が形成される事が明らかにされた. 本研究課題において,今年度申請者は,この湿潤状態とは対極にある乾燥下,あるいは乾燥過程において,ゲル内にメソスコピックレベルの自己構造形成が起こり,更に金属イオン等の第3成分の存在下で,その構造の特徴的な大きさが変化することを初めて見出した.更に,乾燥状態のゲルがガラスに類似の状態になる状態変化(Gel-to-Glass like transition)が起こることを見出した.この現象は,ある種の「相転移」と捉えることができる.更に,中性子及びX線小角散乱を用いて,乾燥ゲルないにメソスコピックレベルの構造が形成されることが明らかになった.次年度はこの現象を利用して「乾燥」という極めて単純な操作による,メソスコピックレベルの構造を有する機能性材料創製へと展開する.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M. Sugiyama, M. Annaka: "Comparative SANS and SAXS studies on a mesoscopically heterogeneous structure in the dehydrated NIPA/SA gel"Physica B. (in press). (2002)
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[Publications] M. Sugiyama, M. Annaka: "Structural Evolution in NIPA/SA Gel on Dehydration"Journal of Applied Physics A. (in press). (2002)