2002 Fiscal Year Annual Research Report
導電性ポリマー膜/酸化チタン接合を用いた空中窒素固定
Project/Area Number |
13640590
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星野 勝義 千葉大学, 工学部, 助教授 (50192737)
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Keywords | 窒素固定 / 酸化チタン / 導電性ポリマー / 有機無機複合材料 / 半導体 / 電気化学 / 固体光触媒反応 / 物質変換 |
Research Abstract |
本研究では、2000年に本研究室で見出された導電性ポリマー/酸化チタン接合を用いた空中窒素固定の機構論的検討を行った。これまでは単に、上記接合に光照射を行うと、空中窒素が固定化・物質変換され過塩素酸アンモニウムが得られるという事実のみが見出されていた。しかしながら、その学術的貢献および産業上への展開を考えると、窒素固定機構を解明することが不可避である。そこで窒素固定化生成物の定量法を確立し、窒素固定量と露光量との相関を検討したところ、窒素固定化物は過塩素酸アンモニウムだけではなく、アンモニアも生成していることがわかった。実際にX線光電子分光分析を行ったところ、アンモニアのシグナルを捕らえることができた。また、アルゴン下での窒素固定化実験、導電性ポリマーを脱ドープしたときの窒素固定化能、窒素固定化に対する周囲湿度の影響を検討し、窒素固定化反応に対する予想反応スキームを作り上げることができた。すなわち、上記接合に光照射を行うと、接合界面において光励起電子とホールが形成されるが、それぞれ窒素還元及び吸着水の酸化に使われ、アンモニアを生成する。このとき同時に光励起電子は導電性ポリマーの脱ドープを引き起こして過塩素酸イオンを放出し、また励起ホールは吸着水の酸化を通して水素イオンを生成する。そして、アンモニア、過塩素酸イオン、水素イオンが酸塩基反応により結合し、過塩素酸アンモニウムが生成するという反応機構を提示することができた。さらに、本窒素固定法の照射光の波長依存性を検討したところ、可視光全域において固定反応が進行し、太陽エネルギーを有効に利用することができることが判明した。 なお、上記内容は現在米国化学会にて審査中であり、その他にも接合界面の電気物性、及び他の手法で形成した酸化チタンでの窒素固定の新たな結果も得ている。これらについても投稿準備中であり、まもなく報告の予定である。
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Research Products
(2 results)