2001 Fiscal Year Annual Research Report
円偏光アンジュレーターと外部磁場によるアミノ酸の光不斉化反応の研究
Project/Area Number |
13640593
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平谷 篤也 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40208856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 啓晃 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90249954)
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Keywords | 円偏光 / アンジェレーター / 磁場効果 / アミノ酸 / 光不斉化反応 |
Research Abstract |
1.ラセミ体の光不斉分解反応によるD/L比の微小な変化や、不斉ではない分子からの光不斉合成によって生成する極微量のアミノ酸を敏感に検出するため、高感度・光学分離型高速液体クロマトグラフをアミノ酸分析器として整備し、複数のアミノ酸を1ピコモルの精度で一斉に分離することと、10フェムトモル以下のアミノ酸のD体とL体を分離検出することに成功した。 2.真空紫外領域では唯一の円偏光光源である円偏光アンジュレーターとエネルギー領域的には相補的な紫外領域(193nm)で大強度の光源であるArFエキシマーレーザーを円偏光光源として利用するために無偏光のレーザー光を左右円偏光、直線偏光に変換する光学系を作製した。 3.試料セルを挿入できる十分な空間を有し、磁石全体の回転により容易に磁場の向きを変更できる磁気回路を製作し、永久磁石としては最高値に近い2.5テスラの磁場を得た。 4.上記の光源とアミノ酸分析装置を用いて、イソロイシンのラセミ体について、まず磁場なしで193nmの右回りと左回り円偏光照射によるD体とL体の不均一化反応を測定し、D/L比の変化を検出した。一方、外部磁場を右回り円偏光の光軸と平行、反平行にした場合のD/L比の変化は極めてわずかであり、ラセミ体イソロイシンの不斉分解反応速度に対する2.5テスラの磁場による変化率の上限値は1±0.002と見積られた。 5.アミノ酸のD体/L体を分離して検出できる下限濃度として数フェムトモルが達成されたことから、本研究の第二段階として計画していた簡単な有機分子とアンモニアなどの水溶液、低温凝縮相への円偏光照射による光不斉合成反応で生成する極微量のアミノ酸の検出、D/L比、ならびに外部磁場効果の測定へと研究を展開する。
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