2002 Fiscal Year Annual Research Report
円偏光アンジュレーターと外部磁場によるアミノ酸の光不斉化反応の研究
Project/Area Number |
13640593
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平谷 篤也 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40208856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 啓晃 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90249954)
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Keywords | 円偏光 / アンジュレーター / 磁場効果 / アミノ酸 / 光不斉化反応 |
Research Abstract |
アミノ酸の光学活性が生じる反応段階を調べるため、光学不活性なプロピオニトリル(CH_3CH_2CN)のアンモニア水溶液にエキシマーランプの紫外光(222nm)を照射し、加水分解前と加水分解後のアミノ酸生成量を高速液体クロマトグラフで測定した。加水分解前には極微量のアミノ酸しか検出されず、加水分解によって生成量順にアラニン、グリシン、βアラニンが生成し、生成量は照射時間にほぼ比例することを確認した。このことから、紫外線照射では遊離したアミノ酸ではなく、加水分解によってアミノ酸となる前駆体が生成することが明らかとなった。この前駆体はエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI-MS)によって、質量数100以上の多数の反応中間体であることが明らかとなり、それらのうちのいくつかは加水分解によってアミノ酸を生じるペプチド結合を含む分子であることを確認した。 同じ炭素原子数で官能基を替えたプロパノールやプロピルアミンについても同様の測定を行い、生成するアミノ酸の種類や生成効率の官能基による違いを求めた。また、アミン系分子では炭素原子数を変えたエチルアミンやブチルアミンとの比較により、出発分子の炭素原子数と生成するアミノ酸の種類の相関を求めた。 紫外線照射による簡単な有機分子からのアミノ酸の生成過程では。ペプチド結合を持つ高分子が中間体として生成することが明らかとなり、円偏光によるアミノ酸の光不斉合成においても中間体の不斉化反応の寄与を考慮する必要性を示した。 この点を実証するために、アンジュレーター光源を用いた左右円偏光照射による、DLアラニンのジペプチドの不斉分解を試みたが、照射時間の不足から分解量そのものが少なく、アラニンのD体とL体の不均化は検出されなかった。
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