2001 Fiscal Year Annual Research Report
アリが造る巨大コロニーの遺伝的構造と高度分業社会の維持機構
Project/Area Number |
13640623
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東 正剛 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (90133777)
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Keywords | スーパーコロニー / 巨大コロニー / 遺伝的粘性 / 分子系統 / マイクロサテライトDNA / チトクロームb遺伝子 / ツムギアリ / 軍隊アリ |
Research Abstract |
マイクロサテライトDNA領域FL12とFL21を用いて、エゾアカヤマアリFormica yessemsisのスーパーコロニー内血縁度をコロニー間血縁度を比較するとともにスーパーコロニー内で血縁度の巣間比較を行った。その結果、スーパーコロニーにおける巣内血縁度は0.248〜0.484であり、忍路、厚田、真駒内(札幌市)のコロニー内血縁度と同レベルであった。また、スーパーコロニーにおける巣内血縁度は0.148〜0.343と低く、巣間距離との相関関係は認められなかった。このことは、スイスにあるF.lugubrisのスーパーコローで示唆されている遺伝的粘性(viscosity)による巨大コロニーの維持機構が存在していないことを示しており、他の維持機構の存在を示唆している。 ツムギアリOecophylla smaragdinaをアジア、ニューギニア、オーストラリアより採集し、cyt b遺伝子の680bp配列を比較し、個体群間の関係を求めた。その結果、アジア大陸、インドネシアのボルネオ島、大スンダ列島などのアジアグループ、オーストラリア・ニューギニアグループに加え、スラウェシ島の個体群が遺伝的に区別された。今後はグループ間の遺伝的構造比較を行っていくつもりである。
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[Publications] 東典子, 菊地友則, 緒方一夫, 東正剛: "Molecular phylogeny among local populations of weaver ant Oecophylla smaragdina"Zoological Science. (in press).