2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640630
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
中嶋 康裕 宮城大学, 看護学部, 教授 (50295383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑村 哲生 中京大学, 教養部, 教授 (00139974)
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Keywords | ミツボシキュウセン / 雌性先熟 / 性転換 / 配偶システム / 一夫多妻 / 代替繁殖戦術 / 同時雌雄同体 / ツマジロモンガラ |
Research Abstract |
01年度の調査において、アカニジベラの決定的な行動が観察できないことがしばしば起こった。これは、従来からの赤土の流出による海水の濁り、および01年度に行われた瀬底実験所の取水パイプ新設工事による海底地形の変化によるものであり、海水の濁りが解消されない以上、潮間帯付近に生息するアカニジベラを観察対象とすることは困難であると予想された。そこで、本年度は主な観察対象をアカニジベラと同属で、より沖側に生息するミツボシキュウセンに変更した。 この両種はきわめて近縁であると考えられるが、その配偶システムや個体群密度にはかなりの隔たりがあった。より大型で密度の高いミツボシキュウセンでは、優位のTP雄の行動範囲が広く、優位雄の存在下で性転換が起こることはほとんどなかった。一方、劣位のIP雄による代替繁殖戦術は頻繁に観察され、集団産卵の成立にいたる過程を観察することができた。 また、当初の計画には入っていなかったが、01年度の観察/実験で、フグ目としては初めての性転換(雌から雄)が確認されたツマジロモンガラを対象として性転換の起こる条件を確認する実験を行った。その結果、ツマジロモンガラでは、これまでベラ科、キンチャクダイ科などで知られていた雌性先熟性転換の例とは明らかに異なり、ハレム内で優位になることが性転換に直結していないことが分かった。ツマジロモンガラでは、繁殖地位を獲得できない小型個体が多く見られるが、そうした小型どうしは繁殖個体とは別の集団を形成し、その中で最も大きい個体が雄として精巣を発達させるようになる。この場合、実際には雄として繁殖できる見込みがないので、むしろ雌雄同体の状態で留まっている方が有利に見えるのだが、なぜ雄に分化してしまうのかは不明である。 なおイソアワモチに関しては、01年夏の異常潮位によって著しく生息密度を減らし、まだ回復していないため、調査を行うことができなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sakai Y., Karino K., Kuwamura T., Nakashima Y., Maruo Y.: "Sexually dichromatic protogynous angelfish Centropyge ferrugata (Pomacanthidae) males can change back to females"Zoological Science. (In press). (2003)
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[Publications] Takamoto G., Seki S., Nakashima Y., Karino K., Kuwamura T.: "Protogynous sex change in the haremic triggerfish Sufflamen chrysopterus (Tetraodontiformes)"Ichthyological Research. (In press). (2003)