2001 Fiscal Year Annual Research Report
高精度の花粉分析による山地湿原の長期的植生変遷の解析
Project/Area Number |
13640638
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
米林 仲 立正大学, 地球環境科学部, 助教授 (50250155)
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Keywords | 花粉分析 / 山地湿原 / 植生変遷 / テフロクロノロジー / 湿原植生 |
Research Abstract |
1.あらかじめ選定していた候補地のうち青森県八甲田山地の高田萢湿原において,ほぼ中央で直交する2本の主調査線沿いに比高測量,植生調査,ボーリングによる火山灰層の調査と花粉分析用試料の採取を行った. 2.湿原縁辺のアオモリトドマツ,ミズナラ,ハイイヌツゲの各低木群落から湿原内部にのばした短い調査線沿いで,同様に植生調査とボーリングを行なった. 3.主調査線沿いの植生調査は湿原周辺の低木群落を含む合計34方形区で行ない,全ての方形区の中央でボーリングをして同一時間断面を指標する火山灰層(To-a)を確認し,表層と火山灰直下の花粉分析用試料を採取した. 4.これらの結果から,現在と西暦915年(To-a降下時)の湿原の地形断面図を作成した.約1100年前の湿原表層は50cm前後の深さにあるが,縁辺部では浅くなり,最も浅いところ(東端)では13cmの深さであった. 5.現地での植生調査の後,これまでに高等植物の同定作業を終えた.現在は植生型を特徴づけるために重要なミズゴケ類の同定作業を継続中である. 6.東西の調査線では湿原周辺部にキンコウカやヌマガヤが多く,中央部にはワタミズゴケが優勢な部分,イボミズゴケが優勢な部分,ミカヅキグサやホロムイソウが優勢な部分などが混在していた. 7.南北の調査線では周辺部にヌマガヤが多く,中央部にワタミズゴケやミヤマイヌノハナヒゲやチングルマが多かった. 8.植生調査の整理と並行して表層試料の花粉分析を実施中である.
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