2003 Fiscal Year Annual Research Report
高精度の花粉分析による山地湿原の長期的植生変遷の解析
Project/Area Number |
13640638
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
米林 仲 立正大学, 地球環境科学部, 教授 (50250155)
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Keywords | 花粉分析 / 山地湿原 / 植生変遷 / テフロクロノロジー / 湿原植生 |
Research Abstract |
1.青森県八甲田山地の矢櫃谷地湿原において前年度に採取した柱状試料の追加の年代測定を行い,ミリメートル単位の花粉分析を開始した. 2.追加的な年代測定の結果,補正年代でB-Tmテフラ直下が990-910BP (AD960-1040年),To-aテフラ直下が1160-920BP (AD790-1030年),To-bテフラ直下が1840-1540BP,To-Cuテフラ直下が5735-5595BPであった.これらはB-TmテフラとTo-bテフラでは従来言われていた年代よりやや若いが,大きな矛盾はない. 3.テフラ直上のミリメートル単位の試料を分析した結果,テフラ降下後の植生回復過程を復元するために十分な量の花粉が含まれていることが確認できた.テフラ降下後,泥炭が再び堆積を開始するまでに時間間隙がある可能性があるものの,この問題を解決できれば植生の回復過程を詳細に跡づけることができる.また,テフラ直下の花粉組成と比較すれば,噴火によってどのような植生が破壊されたのかを復元できることが明らかとなった. 4.湿原周辺の低木群落と湿原との境界を正確に決定するため,オオシラビソ,ミネカエデ,ハイマツ,ハイイヌツゲ,チシマザサがそれぞれ優占する群落が湿原と接する付近の植生調査資料と,対応する花粉分析試料を得た. 5.次年度以降の調査適地を選定するため,従来調査が行われていない南八甲田山地北西部の横沼周辺を探索した.その結果,湿原周辺の地形や湿原の規模等から良好な堆積物は期待できず,調査対象から除外することができた.
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Research Products
(1 results)