2002 Fiscal Year Annual Research Report
宿主植物細胞内で機能する根粒菌分泌タンパクの探索と共生成立の分子モニター系の開発
Project/Area Number |
13640653
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
内海 俊樹 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (20193881)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 章弘 鹿児島大学, 理学部, 助手 (50305108)
阿部 美紀子 鹿児島大学, 理学部, 教授 (00107856)
|
Keywords | 根粒菌 / ミヤコグサ / アレイ解析 / ヘモグロビン / 遺伝子発現 / プロモーター / アグロバクテリウム / 形質転換 |
Research Abstract |
ミヤコグサ根粒菌のバクテロイド化とミヤコグサのグロビン遺伝子の発現誘導をモデルケースとして、遺伝子発現の可視化と培養細胞系を利用した遺伝子発現の新しいモニター系を構築し、根粒菌と宿主植物の遺伝子発現調節機構を解明することが目標である。本年度は、以下の2点を中心に研究を進めた。. (1)根粒菌ゲノムアレイによる遺伝子発現の解析と遺伝子破壊株の解析 ミヤコグサ根粒菌の全ゲノムアレイを使用して、培養菌体と根粒細胞内のバクテロイドでの遺伝子発現の変化を網羅的に解析した。その詳細な解析は進行中であるが、本年度は、バクテロイドで最も転写活性の高かったトランスポサーゼ遺伝子の破壊株作出に着手し、進行している。また、ミヤコグサ根粒菌には、植物のヘモグロビン遺伝子のプロモーター部位に結合するタンパク質のホモログが存在しており、その遺伝子(LjBin1)は、根粒細胞内のバクテロイドで発現していた。昨年度作出したLjBin1の遺伝子破壊株のミヤコグサとの共生における表現型について検討したが、野生株との大きな違いを見いだすことはできなかった。 (2)形質転換ミヤコグサによる共生型ヘモグロビンのプロモーター解析 共生型ヘモグロビンのプロモーター領域とGFP構造遺伝子との融合遺伝子(Ljpro/GFP)を構築し、Agrobacteriumを介してミヤコグサへ導入した。、A. rhizogenesを介した形質転換で発生した毛状根には、正常な根粒形成が観察された。蛍光顕微鏡による根粒形成過程の観察では、根粒原基へと発達すると予想される細胞集団近傍の維管束周辺で、GFP遺伝子の発現が観察された。また、組織培養した毛状根では、組織全体で発現が検出された。このことは、共生型ヘモグロビンの遺伝子発現は、根粒菌の感染以外の要因にも応答しうることを示している。A. tumefaciensを介したミヤコグサの形質転換では、再生個体を得ることができた。PCRによりLjpro/GFPが導入されていることを確認したが、次世代の種子は未だ得られていない。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Toshiki Uchiumi: "Expression of symbiotic and nonsymbiotic globin genes responding to microsymbionts on Lotus japonicus"Plant and Cell Physiology. 43・11. 1351-1358 (2002)
-
[Publications] Takakazu Kaneko: "Complete genomic sequence of nitrogen-fixing symbiotic bacterium Bradyrhizobium iaponicum USDA110"DNA Research. 9. 189-197 (2002)
-
[Publications] Jenet B.Fuentes: "Symbiotic root nodule bacteria isolated from yam bean (Pachyrhizus erosus)"Journal of General and Applied Microbiology. 48. 181-191 (2002)
-
[Publications] 内海俊樹: "共生窒素固定研究の最新情報(9) -再び植物と根粒菌の交互関係-"農業技術. 58・3. 133-138 (2003)
-
[Publications] 鈴木章弘: "共生窒素固定研究の最新情報(4) -根粒形成の分子生物学的考察-"農業技術. 57・10. 456-462 (2002)