2002 Fiscal Year Annual Research Report
緑藻Botryococcus brauniiの炭化水素生成機構の細胞学的研究
Project/Area Number |
13640665
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Research Institution | Nara women's University |
Principal Investigator |
野口 哲子 奈良女子大学, 理学部, 教授 (00135823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍵和田 聡 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (40281662)
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Keywords | 炭化水素 / 緑藻 / Botryococcus braunii / trans-Golgi network |
Research Abstract |
単細胞緑藻Botryococcus brauniiは、細胞乾燥重量の30〜60%もの多量の炭化水素を生成・分泌する。炭化水素生成過程の細胞微細構造の解析と平行して生化学的な解析を進める目的で、B. brauniiでは通常細胞質分裂直後に起こる炭化水素生成を、interphaseの細胞に誘導する系を確立した。Interphaseの細胞外に蓄積した炭化水素を流動パラフィンにトラップさせて除去しても、顕著な炭化水素生成を誘導できなかった。Interphaseの細胞を細胞壁分解酵素を用いて適度なスフェロプラストにした場合、処理前に比べて約3倍量の炭化水素生成を誘導できた。分解酵素を除去すると時間の経過と共に炭化水素生成量が増え、5時間後に最大量(12倍)になり、その後減少することが判った。炭化水素生成に関与するタンパク質を検出する目的で、処理前の細胞群と比較し、スフェロプラスト処理後5時間の細胞群に特異的に出現するタンパク質をウエスタン-ブロットで検出することを試みたが、検出できなかった。そこで、Botryococcus brauniiの炭化水素前駆体である脂肪酸伸張酵素に対する抗体を入手し、免疫電子顕微鏡法で炭化水素生成期の細胞の解析を始めたところである。まだ、明確な成果は得られていない。一方、細胞質分裂直後の炭化水素生成期の細胞でも、通常の超薄切片(70nm)では生成直後の炭化水素を観察できなかったが、2μmの厚い切片を超高圧電子顕微鏡で観察することに依って、生成直後の炭化水素を観察できた。この結果、炭化水素はゴルジ体やトランス-ゴルジネットワークが存在する細胞頂端部で生成され、細胞基部に蓄積することが判った。本結果は、トランス-ゴルジ-ネットワークが脂質形成に関与するという我々が提出した説を強く支持した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Horio, T: "Molecular and structural characterization of the spindle pole bodies in the fission yeast Schizosaccharomyces japonicus var.Japonicus"Yeast. 19. 1335-1350 (2002)
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[Publications] 野口哲子: "藻類細胞からゴルジ体と小胞輸送を観る"電子顕微鏡. 36・3. 202-204 (2001)
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[Publications] 野口哲子: "単細胞藻類を用いたゴルジ体系の解析-Brefeldin Aがゴルジ体系に及ぼす影響-"Plant Morphology. 13・1. 51-60 (2001)
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[Publications] Kagiwada, S: "Role of the yeast VAP homolog, Scs2p, in INO1 expression and phospholipid metabolism"Journal of biochemistry. 133(印刷中). (2003)
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[Publications] 野口哲子(分担), 石原勝敏, 河野重行, 他12名編: "生物学データ大百科事典(上) 1.生体の構造 4.細胞の構造と機能 (d)ゴルジ体"朝倉書店、東京. 1456(111-119) (2002)