2002 Fiscal Year Annual Research Report
変異蛋白質を用いた無脊椎動物型ロドプシンを含む多様な視物質の機能発現機構の比較
Project/Area Number |
13640678
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寺北 明久 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30212062)
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Keywords | ロドプシン / オプシンファミリー / 多様性 / レチナール・シッフ塩基 / 対イオン / G蛋白質 / 光異性化酵素 |
Research Abstract |
ロドプシン類の、光受容からG蛋白質の活性化に至る機能発現のメカニズムの一般性と多様性を知ることを目的とし、培養細胞系で発現に成功したナメクジウオ由来のGo供役ロドプシンおよびペロプシンについて、(1)部位特異変異体やキメラ変異体を作製し、生化学的・分光学的に解析し、レチナールシッフ塩基を安定化する対イオンをはじめとして可視光受容システムに重要なアミノ酸残基を同定するとともに、(2)G蛋白質の活性化メカニズムを解析する。さらに、(3)発現したペロプシンの光反応やG蛋白質の活性化能を分光学的・生化学的に解析することにより、不明な生理学的役割についても考察することを目指す。 (1)対イオンの比較研究:Go供役ロドプシンとペロプシンのN端から181番目のグルタミン酸が対イオンとして機能していることを発見した。この残基は、全てのロドプシンで高度に保存されており、ショウジョウバエや軟体動物などのロドプシンでも対イオンとして働いていると考えられる。 (2)Go供役ロドプシンの光依存的はG蛋白質の活性化の測定は前年度に確立できた。本年度はその測定系を用いて活性化メカニズムの解析を進める過程で、アポ蛋白質であるオプシンに光産物の発色団である全トランス型レチナールを加えると、GoロドプシンがG蛋白質を光と全く同じ効率で活性化することを見い出した。この性質は、脊椎動物のロドプシンには見らない性質である。また、この性質は一般的なGPCRと同一あり、ロドプシンをモデルとしたGPCR研究への発展に貢献すると思われる。 (3)ペロプシンを培養細胞系で発現し、その発色団レチナールを高速液体クロマトグラフィーで分析した。その結果、ペロプシンの発色団は全トランス型レチナールであり、光依存的に11シス型に異性化されることを初めて発見した。すなわち、生体内では、光異性化酵素として機能していることを見い出した。
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[Publications] T.Nagata: "Isomer-specific interaction of the retinal chromophore with threonine-118 in rhodopsin"J. Phys. Chem.. 106. 1969-1975 (2002)
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[Publications] M.Koyanagi: "Amphioxus homologs of Go-coupled rhodopsin and peropsin havin 11-cis-and all-trans-retinals as thier chromophores"FEBS Lett.. 531. 525-528 (2002)
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[Publications] Kuwayama: "Conserved proline residue at position 189 in cone visual pigments as a determinant of molecular properties different from"Biochemistry. 41. 15245-15252 (2002)
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[Publications] Y.Nakashima: "Origin of the vertebrate visual cycle : retinal photoisomerase and two putative visual cycle proteins are expressed in whole brain of a primitive"J. Comp. Neurol.. 印刷中. (2003)
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[Publications] A.Terakita: "Insight into rhodopsin diversity from viewpoint of couterion"J. Photosci.. 9. 33-36 (2002)
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[Publications] 岡田哲二: "ロドプシンの結晶構造からみるG蛋白質共役受容体の構造・機能関連"蛋白質核酸酵素. 147. 1123-1130 (2002)