2002 Fiscal Year Annual Research Report
アメフラシ多種同族体ペプチドの機能的多様化に関する研究
Project/Area Number |
13640682
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松島 治 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80127711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 文浩 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20210164)
古川 康雄 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40209169)
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Keywords | 同族体ペプチド / 神経ペプチド / 不活性化 / 多様性 / 分解酵素 / ペプチダーゼ / デアミダーゼ / 脱アミド |
Research Abstract |
本研究の目的は、生理活性ペプチドが機能的に多様化する仕組みを探ることである。無脊椎動物の生理活性ペプチドの中には、互いに構造の類似した多種類のペプチド群として存在するものが数多く知られている(多種同族体ペプチド)。通常、多種同族体ペプチドは単一の前駆体タンパク質上に配列しており、一つの族(ファミリー)を構成している。他方、アセチル化、アミド化、特定のアミノ酸残基のD型化などの翻訳後修飾をうけてはじめて活性を持つようになるペプチドも多い。本年度は、これらの多種同族体ペプチド族の個々のメンバーが機能的に多様化している可能性を探り、翻訳後修飾の一形態であるD型化が機能的多様化に果たす役割ついて検討するため、ペプチド類の不活性化機構に関連して、生体が示すペプチド分解活性について解析した。特に、ペプチドは神経伝達物質だけでなく液性情報因子としても機能している可能性があり、神経組織膜分画と体液による分解様式・活性を比較検討した。 アメフラシ多種同族体ペプチドのAMRP(Aplysia MIP-related peptide)の1メンバーであるGAPRFVamideのアメフラシ体液による分解主産物はAPRFVamideであったが、神経組織膜標本ではGAPRとFVamideが検出された。また、アメフラシのD-アミノ酸含有神経ペプチドであるNdWFamide(Asn-D-Trp-Phe-NH_2)は神経組織膜標本により脱アミドされて活性を失ったが、体液中では安定であった。これらの結果は、神経伝達物質と液性情報因子として機能する場合とでは分解様式が異なることを示している。今後、ごれら分解産物の生理活性の有無について解析し、作用様式と機能的多様化の関係等についても検討する予定である。
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[Publications] Sasaki, K. et al.: "Structural and functional diversities of the Aplysia Mytilus inhibitory peptide-related peptides"Peptides. 23. 1959-1965 (2002)
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[Publications] Kanemaru, K. et al.: "Aplysia cardioactive peptide(NdWFamide) enhances the L-type Ca2+ current of Aplysia ventricular myocytes"Peptides. 23. 1991-1998 (2002)
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[Publications] Matsushima, O. et al.: "A novel GGNG-related neuropeptide from the polychaete Perinereis vancaurica"Peptides. 23. 1379-1390 (2002)
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[Publications] Morishita, F. et al.: "Identification of a vasopressin-like immunoreactive substance in hydra"Peptides. 24. 17-26 (2003)
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[Publications] Morishita, F. et al.: "Deamidase inactivates a D-amino acid-containing Aplysia neuropeptide"Peptides. 24. 45-51 (2003)
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[Publications] Morishita, F. et al.: "Distribution of the Aplysia cardioexcitatory peptide, NdWFamide, the central and peripheral nervous systems of Aplysia"Cell & Tissue Res.. (in press). (2003)