2002 Fiscal Year Annual Research Report
単細胞緑藻に含まれるCW型およびDO型グループの微細構造と分子系統
Project/Area Number |
13640694
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邊 信 富山大学, 教育学部, 教授 (10126500)
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Keywords | 微細構造 / 分子系統 / 緑藻 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成14年度の研究内容の概要は次の通りである。 1.Chlorosarcinopsis属とDesmotetra属の系統関係 Chlorosarcinopsis communis (UTEX1699), Chlorosarcinopsis stigmatica (1-OKI-8), Chlorosarcinopsis delicata (KUC3-6), Desmotetra stigmatica (UTEX962)は栄養細胞が立方体的に集合する特徴をもつが、異なる属に分類されてきた。これら4株の緑藻は細胞壁のない遊走子をもち、その眼点は細胞の最先端にあり鞭毛は眼点よりもわずかに後方から発出し、ピレノイドには平行なチラコイド膜が貫入していることが電子顕微鏡により観察された。また18SrDNAの塩基配列データの解析から、これら4株は強固な単系統性をもつクレードを形成した。Desmotetra属の設立については今まで疑問視する意見が提出されてきたが、本研究によりその属の設立の妥当性が支持された。 2.Chlorosarcina stigmatica(T105)の系統的位置 T105はC.stigmaticaの原記載に合致するとして、この種に同定されたものであるが、本研究で電子顕微鏡により遊走子の細胞壁が観察され、原記載と異なることが明らかとなった。18SrDNAの塩基配列データの解析からT105は、従来近縁だと推定されていたChlorosarcinopsis属、Desmotetra属、Neochlorosarcina属などと遠い関係にあり、むしろOogamochlamys属やLobochlamys属に近縁である。栄養細胞の形態とこれらのことからT105は種もしくは属レベルの新しい分類群ではないかと考えられる。 3.Neospongiococcum属4種の系統関係 Neospongiococcum multinucleatum, N.excentricum, N.proliferumの18SrDNAの配列を調べ、既知のN.alabamenseとともに系統樹を作成した。N.multinucleatumとN.excentricumは単系統性のクレードを形成したが、N.proliferumとN.alabamenseの解析方法によって必ずしも単系統を示さず、また前2種ともクレードを形成しなかった。
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