2003 Fiscal Year Annual Research Report
スズキ亜目ヒゲダイ属魚類の分類学的研究およびその帰属に関する研究
Project/Area Number |
13640698
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岩槻 幸雄 宮崎大学, 農学部, 教授 (60213302)
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Keywords | ヒゲダイ属 / Hapalogenys / 分類 / スズキ亜目 / 帰属 / 魚類 |
Research Abstract |
ヒゲダイ属の公称種の各タイプをすべて調査が済んだ。有効種とされてきた4種以外の類似種の分布範囲と考えられる海域から標本の採集に全力を注いだ。特に手薄であった海域であるオーストラリア北部、中国南部および台湾の標本に全力を注ぎ、また中国の標本は借用および採集が困難であったが複数個体を得ることが出来た。その結果、当初考えていたように、ヒゲダイ種群、ヒゲソリダイ種群、シマセトダイ種群、セトダイ種群およびアンダマンヒゲダイ種群の合計5つの種群に明確に区別出来た。またそれらの各類似種群内の幾つかのタイプが別種になるかどうかの詳しい検討を行い、ヒゲダイ種群とシマセトダイ種群にみられたそれぞれ二つの異なるタイプは、前者では広い分布範囲から同種内の個体変異であることが判明した。しかし、模式標本の調査から、ヒゲダイの学名は、H.nigrippinnisとされてきたが、H.nigrippinnisは、ヒゲソリダイH.nitensの古参同物異名であり、驚くことにヒゲダイは未記載種の新種であった。またシマセトダイ種群の2タイプは、東アジアの大陸棚にみられるものとオーストラリアでみられるものは、別種であることが判明し、後者は未記載であることが判明した。ヒゲダイ属魚類は、15年前ではありふれた種類であったと漁業者から聞いているが、近年の資源の急激な枯渇していることは確かなようであった。資源の枯渇の理由は不明であるが、特にこの3年の調査から、産卵場所が特定されていないが、成熟卵を持った個体が1尾も観察されていないことから、きわめて限られた海域で産卵し、広い産卵回遊をしている可能性が示唆された。 同時に本属の帰属を明らかにするため、申請者が本属に類縁の可能性が極めて高いと考えている近縁魚種の解剖を多数行った。その結果、Lobotes属幼魚は下顎小孔が10孔あることが判明し、ヒゲダイ属魚類と極めて近縁であることが示唆され、Plectorynchus属にも6孔あり、正確な帰属は難しいと判断された。どの近縁の種類とも異なるので本属は新科を創設して1科1属としてまとめた方が無難であると判断されたが、今回は更なる精査をまって、この結論は差し控えた。
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[Publications] Burhanuddin, I.A., Y.Iwatsuki: "New genus and species (Perciformes : Trichiuridae) of hairtail from New Guinea"Ichthyol.Res.50(1) : 23-29. 50・1. 23-29 (2003)
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[Publications] Torii, A., A.S.Harold, T.Ozawa, Y.Iwatsuki: "Redescription of Bregmaceros mcclellandi Thompson, 1840 (Gadiformes : Bregmacerotidae)"Ichthyol.Res.. 50・2. 129-139 (2003)
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[Publications] Burhanuddin, I.A., Y.Iwatsuki: "New trichiurid species, Trichiurus nikolensis, belonging to the "T.russelli complex" (Perciformes ; Trichiuridae)"Ichthyol.Res., 50(3) : 270-275. 50・3. 270-275 (2003)