2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640707
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 正信 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 主任研究官 (10189772)
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Keywords | 東アジア / コケ植物 / 種分化 / 高山 |
Research Abstract |
平成13年度は、まず8月に九州の祖母山において野外調査を実施した。ここではとくに、ヒマラヤから日本までの高地に産する蘇類のシノブヒバゴケを確認することができた。次に9月には四国の剣山において野外調査を実施した。ここでは周北極要素のイワダレゴケやタチハイゴケなどをはじめとする多くの高山性コケ植物を調査することができた。また、平成14年3月には九州の屋久島において野外調査を行う予定である。 これらの調査では、現地で見られた高山性コケ植物の生育状況とその生育環境を記録するとともに、資料を収集した。資料はこれまでに入手した外国産の資料とともに、研究室で詳細な外部形態の観察を行った。その結果、いくつかの新知見を得た。例えば、中国雲南省の3800mの高地で得られた資料が蘇類のラッコゴケ属の新種であることを見出した。本種は植物体の大きさや葉の形などで、インド北西部からネパール、ブータン、中国(陜西省、四川省)にかけて分布するG.schensianaに似るが、本種は葉が下方に曲がり、葉縁には鋸歯があり、葉身細胞の細胞壁は比較的厚く、中肋を欠くことなどの点でG.schensianaと区別される(Higuchi,2001)。また、東ヒマラヤと雲南省の資料から、蘇類のハイゴケ科の新しい分布情報が確認された。 なお、得られた資料は分子系統解析を行うために、ディープフリーザーで冷凍保存した。今までに得られた資料の中では、剣山及びその周辺地域は国内での亜高山性針葉樹林の南限にあたるため、本地域の高山性コケ植物の遺伝的解析に興味が持たれる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Higuchi, M.: "A new species of Gollania (Hypnaceae, Musci) from China"Hikobia. 13. 525-527 (2001)
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[Publications] Higuchi, M., D.G.Long: "A collection of hypnaceous mosses from the East Himalaya and Yunnan 2"Bull.Natn.Sci.Mus., Tokyo, Ser.B. 28. (2002)