2001 Fiscal Year Annual Research Report
タイ類スジゴケ科における葉状体の組織・機能分化からみた系統分類
Project/Area Number |
13640712
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
古木 達郎 千葉県立中央博物館, 植物学研究科, 上席研究員 (40250146)
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Keywords | 東南アジア / コケ植物 / タイ類 / スジゴケ科 / 葉状体 / 油体 / 組織分化 / 系統分類 |
Research Abstract |
平成13年8月に九州大分県及びマレーシアのマレー半島キャメロンハイランドにおいて、現地調査を行い、本研究の材料であるタイ類スジゴケ科スジゴケ属Riccardiaおよびミドリゼニゴケ科Aneura各種の生育環境、生態を調べた。また、資料を持ち帰り、光学顕微鏡で葉状体における油体の分布を調べ、分布パターンと生育環境との関係を調べている。 平成14年3月に千葉県内においてスジゴケ属の胞子を採集し、試験管内において胞子を発芽させ、葉状体の生育を誘導している最中である。今後、葉状体の発達に伴う油体の分布と組織分化を考察する。 今年度得られた資料は、現在、透過型電子顕微鏡で観察するための予備実験を行い、来年度以降の実験に備えている最中である。 これまでの主な結果としては、マレーシアで採集した1種の葉状体においてこれまでには知られていなかった葉状体の組織分化と油体の特異的な分布パターンを見出したことが挙げられる。すなわち、本種の葉状体においては、大きな内部細胞には油体が含まれるが、小さな内部細胞には油体が含まれないことを見出した。これは、いままで知られていないものであった。この種については詳しく調べ、1898年にジャワ島で記載されていたRiccardia crassiretis Schiffn.であることを確認し、この近縁種と思われるR.crenulata Shiffn,やR.paryula Schiffn.との形態学的な比校検討を行った。その結果、R.subcrenulata HerzogをR.parvulaの異名として扱うことを提案した。
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