2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640716
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Research Institution | National Science Museum, Tokyo |
Principal Investigator |
溝口 優司 国立科学博物館, 人類研究部, 室長 (00110106)
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Keywords | 短頭化現象 / 頭蓋最大長 / 頭蓋最大幅 / 体幹骨 / 上肢骨 / 下肢骨 / 主成分分析 / ブートストラップ法 |
Research Abstract |
日本人の頭の骨(頭蓋)は、中世から現代にかけて、上から見た時の形が楕円形のような前後に長い形(長頭)から、円のように丸い、前後に短い形(短頭)へと集団的に変化してきている。これを短頭化現象というが、この短頭化現象の原因は未だにはっきりとは特定されそいない。本報告者はその具体的な原因を探るべく、当研究計画以前に、頭蓋と体の他の部分、具体的には、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨、脚骨、肋骨、鎖骨、肩甲骨との関係を統計学的に調べて、背骨の大きさや骨盤の一部が頭蓋の形と関連を持つことを明らかにしてきた。このような関係が分かれば、間接的にではあるが、関連部位の機能などから頭蓋変化の原因を推測できるかもしれないからである。本計画は、上記以外の体の骨、すなわち、自由上肢骨および下肢骨との相関をさらに分析し、体幹・体肢骨の変異が短頭化現象の原因となりうるか否かを総合的に考察しようとしたものである。 本計画の最終年度である今年度は、骨盤、大腿骨、膝蓋骨、脛骨、腓骨との関係を分析したが、結果として、頭蓋最大長が、男女両方で、寛骨の高さ、最大骨盤幅、前上棘幅、大腿骨の全体的な長さおよび骨幹の太さ、さらに脛骨の全体的な長さおよび骨幹の太さと有意な関連を持つことが明らかになった。また膝蓋骨ならびに腓骨に関する分析では、男の場合にのみ、それらの骨の一部の計測値と頭蓋最大長の間に有意な関連があることが分かった。他方、頭蓋最大幅は、どの下肢骨計測値とも有意な関連を持っていないことが確認された。 以上の分析結果から、骨盤形態、体の大きさ、骨格筋量という、3つの変量の時代的変化が、短頭化・長頭化現象の原因候補になりうる、と考えられた。今後、さらに、これら原因候補と頭蓋形態の時代的変化の間の対応関係を調べ、具体的な短頭化・長頭化現象の原因を特定しなければならない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mizoguchi, Yuji: "Significant associations between cranial length and femoral measurements : Toward the solution of the brachycephalization problem"Bulletin of the National Science Museum, Tokyo, Series D. 29. 11-23 (2003)
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[Publications] Mizoguchi, Yuji: "Associations between the neurocranium and the leg bones : Toward the solution of the brachycephalization problem"Bulletin of the National Science Museum, Tokyo, Series D. 29. 25-39 (2003)