2001 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類MHCクラスIならびにMIC遺伝子群の起源と進化
Project/Area Number |
13640717
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
舘野 義男 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 教授 (00202424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 正明 不二家, バイオサイエンス研究所, 研究員
小林 薫(深海 薫) 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 助手 (20225494)
猪子 英俊 東海大学, 医学部, 教授 (10101932)
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Keywords | HLAクラスI遺伝子領域 / 分子進化 / ゲノム解析 / ゲノム断片重複 / LINE配列 / 中立進化 / 分岐時間 / 霊長類進化 |
Research Abstract |
HLA研究実績の概要 当該研究者らは、ヒトゲノムの配列決定と論文ならびにデータベースによる公表に貢献した。特に分担研究者の猪子らはHLA領域の配列決定、アノテーション並びに論文発表では主導的な役割を果たした。これらの貢献の後も、HLA領域の解析を続行している。また、猪子らを中心としてチンパンジーのMHC領域の配列決定も行っており、この領域の全配列の決定も今年前半までには終了予定である。 これらヒトとチンパンジーの配列を分子進化学視点並びに手法で比較解析し、次のような成果を得た。まず、MHCクラスIのBとCのそれぞれの遺伝子座には、両種に共通する(オルソロガスな)LINE配列が存在することが分かった。次ぎに、これらのLINE配列は、ゲノムに不完全は形で入った後で更にAuなどの挿入が起こり、分断されていることをつきとめた。つまり、LINEとしての機能を失っており、中立的に進化をしているので、BとC遺伝子の起源と進化過程を解明するのに、有力な情報源となる。現在、両種のオルソロガスなLINEにもとづいたこれら2つのMHCクラスI遺伝子の起源と進化に関する論文を制作中である。 また、HLAクラスIのG遺伝子付近のAuの二形性とA遺伝子の進化的関連性、HLAクラスIの重複遺伝子とCD1の分子系統関係、さらに、クラスI疑似遺伝子の一つであるMICB遺伝子中に存在するAuの多型とB遺伝子の関連などについて解析を行いそれぞれ論文に発表した。これらの仕事は、HLAクラスI遺伝子領域の進化的なダイナムズムを理解する上で、重要な貢献をもたらすものと思われる。 さらに、膨大なDNAデータベースを利用して、進化的に保存されている遺伝子領域を迅速にクローニングして、配列決定を促す方法も考案した。この方法により、ヒト、チンパンジー以外の霊長類のHLAクラスI領域の配列解析が進むものと期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] International Human Genome Sequencing Consortium: "Initial sequencing and analysis ofthe human genome"Nature. 409. 860-921 (2001)
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[Publications] Kunihiro, S., Kawanishi, Y., Sano, M., Naitoh, K., Matsu-ura, S., Tateno, Y., Gojobori, T., Yamagata, Y., Abe, K., Machida, M.: "A PCR-based method for cloning novel members of a gene family by a combination of degenerate and inhibitory primers"Gene. (in press). (2002)
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[Publications] Kulski JK, Martinez P, Longman-Jacobsen N, Wang W, Williamson J, Dawkins RL, Shiina T, Naruse T, Inoko H: "The association between HLA-A alleles and an Alu dimorphism near HLA-G"J Mol Evol.. 53. 114-123 (2001)
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[Publications] Seki SS, Sugimura K, Ota M, Matsuzawa J, Katsuyama Y, Ishizuka K, Mochizuki T, Suzuki K, Yomeyama Y, Mizuki N, Honma T, Inoko H, Asakura H: "A stratification analysis of MICA triplet repeat polymorphisms and HLA-antigens associated with ulcertive colitis"Tissue Antigens. 58. 71-76 (2001)
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[Publications] Kulski JK, Dunn DS, Gaudieri S, Shiina T, Inoko H: "Genomic and phylogenic analysis of the human CD1 and HLA class I multicopy genes"J Mol Evol.. 53. 642-650 (2001)
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[Publications] Kulski JK, Dunn DS, Hui J, Martinez P, Romphruk AV, Leelayuwat C, Tay GK, Oka A, Inoko H.: "Alu polymorphism within the MICB gene and association with HLA-B alleles"Immunogenetics. 53. 975-797 (2002)