2001 Fiscal Year Annual Research Report
界面制御による高温・低温超伝導層の高強度超伝導接続
Project/Area Number |
13650016
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
寺田 教男 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (20322323)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 幸三 鹿児島大学, 工学部, 教授 (10094129)
|
Keywords | 高温超伝導体 / 金属系超伝導体 / 表面・界面制御 / 超伝導オーダーパラメーター / 電子状態接続 / 活性酸素ビーム / 光電子分光 / 超伝導近接効果 |
Research Abstract |
銅酸化物系高温超伝導体の表面・界面における超伝導性の強さを表すオーダーパラメーターは表面反応層・不純物等の構造欠陥や界面歪みによって急激に減衰する。従って、高強度な高温・低温超伝導接続を実現するためには、まず、高温超伝導層において理想的表面を形成し、オーダーパラメーターの減衰を抑制する必要がある。 今年度は、最も有望なエレクトロニクス用高温超伝導材料と見なされているYBa2Cu307(YBCO)薄膜を対象として、この薄膜の低温での清浄化のために開発した高密度酸素原子ビーム源を用いた処理、X線及び紫外光電子分光による処理表面の「その場」評価を行い、処理条件と表面電子状態の関連を調べた。その結果、表面の超伝導性と正相関の関係にあるフェルミ準位における電子状態密度が、従来から指摘してきた処理温度のみならず雰囲気圧力にも敏感であることが見出された。雰囲気圧力10mTorr以上の処理条件では不純物除去に有効な活性酸素原子の入射密度が高いにも拘わらず、処理後にも炭酸基関連の不純物が残存するとともに電子状態密度は比較的低かった。一方、低圧力条件で処理した表面における不純物は検出限界以下となるととも高い電子状態密度が得られた。処理時の反応気相を診断したところ、低雰囲気圧力領域では10〜15eVのエネルギーを持つイオンの被処理面入射の急増が観測された。これらの結果は、活性な酸素原子を用いた化学的処理(表面変質層の揮発化、超伝導層の再酸化)に加えて低エネルギー粒子照射(アルカリ金属炭酸化物等の非揮発性不純物のダメージレスな除去)が低温での清浄化に有効であることを示唆している。 今年度の実験から得られた最適条件は処理温度450℃、処理圧力1mTorr以下、酸素原子ビーム密度5×10^<15>atoms/cm^2・secであった。これらにより、薄膜試料において単結晶の極低温劈開面に匹敵する電子状態密度を有するイントリンシックな表面状態を得るための手法を確立できたと言える。 上述の最適化によりYBCO処理表面と「その場」堆積したAu層間の接合において、1〜5×10^<-9>Ω・cm^2程度のコンタクト抵抗が再現性良く得られるようになった。これは現在貴金属/高温超伝導体のコンタクト抵抗における最小のレベルに属しており、高強度超伝導接続のための足掛かりが得られたものと言える。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] N.Terada, A.Iyo, Y.Tanaka, K.Obara.H.Ihara: "Photoemission Study of (Cu, TI)-1223 and TI-1223 with Tc above 130 K"IEEE Trans.Appi.Superconductivity. vol.11・No.1. 2707-2710 (2001)
-
[Publications] N.Terada, S.Ikegawa, Y.Motoi, K.Obara, H.Ihara: "Phtoemission Study of Chemical Bond Nature of Pb-3212 Epitaxial Films"IEEE Trans.Appl.Superconductivity. vol.11 No.1. 3126-3129 (2001)
-
[Publications] N.Terada, T.Fukida, T.Hayashi, A.Iyo, Y.Tanaka, Y.Kinoue, K.Obara, H.Ihara: "Photoemission Study of Electronic Structure of TI-1223 Superconductors Synthesized under Ambient-and High-Pressure"Trans.Mat.Res.Soc.Japan. vol.26. 1017-1020 (2001)
-
[Publications] H.Shibata, S.Kimura, S.Kashiwaya, S.Ueno, M.Koyanagi, N.Terada, E.Kawabe, Y.Tanaka: "Far-Infrared Reflectnace and Transmittance Studies of YBa2Cu3O7-x Single-Crystal Thin Films"Jpn.J Appl.Phys.. vol.40, No.5A. 3163-3170 (2001)
-
[Publications] K.Eguchi, S.Y.Park, N.Terada, K.Obara: "Cooperative phenomena in super-thin oxide layer on metallic electrode"Trans.of Mat.Res.Soc.Japan. Vol.26 No.4. 1295-1298 (2001)
-
[Publications] K.Obara et al.: "Collision Processes between Sputtered Particles on High Speed Rotating Substrate and Atomic Mass Dependence of Sticking Coefficient"J.Crystal Growth. (in press). (2001)